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2018.11.30 23:56|怪奇幻想文学いろいろ
 最近遅まきながらデビューした電子書籍で、ヘンリー・カットナーの「サルドポリスのレイノル王子」シリーズを見つけて購入してみました。シリーズといってもわずか二作だけなのですが、後篇の「暗黒の砦」をヒロイックファンタジー大集合アンソロ「不死鳥の剣」で読んで以来、その前作で邦訳がほぼ入手不可能な"Cursed Be The City"(「呪われた都」)の存在がずっと気になっていたのです。
 (先日ツイッターで「未訳」と書いたのは厳密には間違いで、いつも参考にさせて頂くameqlist様のサイトによれば、ミステリマガジンの1971年1月号に「呪われた城市」という題で訳出されているとのこと)

 「呪われた都」は時系列的にも「暗黒の砦」のわずか前に起きた出来事を扱っており、主人公レイノルとその従者エブリクが故国である中央アジアの都市国家サルドポリスの滅亡を逃れ、流浪の旅に出たいきさつが語られます。自分の覚え書きを兼ねてのあらすじ紹介ですが、最後まで内容をネタバレしていますので知りたくない方はお気を付けください。いずれどこかで新訳が出ないとも限りませんし。


― "Cursed Be The City"(「呪われた都」) あらすじ―
 
 サルドポリスの都は北方から攻め寄せた大軍の前に陥落しようとしていました。着々と攻城の準備が進められるなか、城壁に一人上ってゆくのは年老いた予言者。都の運命を嘆く老人は「じきお前たちの上にも、森から来たいにしえの破滅が降りかかろう!」という叫びを最後に身を投げ、下で待ち受けていた敵兵たちの槍に貫かれて絶命します。とはいえそんな警告に耳が貸されるわけもなく、やがて侵略軍は城門を破ってなだれ込み、都は至るところで略奪と虐殺が繰り広げられる阿鼻叫喚の場に。

 王宮の玉座の間では征服者サイアクサレスの前に、サルドポリスの王チャレムをはじめとする一団の捕虜が引き出されていました。臣従の意を示せば助命するとの言葉をにべもなく撥ねつけたチャレムをサイアクサレスは一刀のもとに斬り倒し、遺骸はハゲワシにくれてやれと命じますが、その時捕虜たちの中から罵声を浴びせた一人の若者に目を留めます。彼こそはチャレムの息子、レイノル王子でした。
 その挑発的な言葉に怒ったサイアクサレスはレイノルを拷問室へと連れ去らせ、一人になるとしばし奪った玉座の上で思いを巡らせます。先程から一部始終を見ていた相談役の妖しい美青年、ネコ
(※猫ではありません)が現れ勝利を称えても、王は表情を曇らせたまま。そしてネコに向かい、お前と出会ったのが災いの始まりだったと野望と自己嫌悪をない交ぜにした心情を吐露するのでした。

  地下で拷問台に拘束されていたレイノルは、際どいところで忠実なヌビア人の従者エブリクに助けられます。エブリクは乱戦の中王子とはぐれたあと、倒したサイアクサレス方の兵士の服を着て宮殿に戻り、レイノルの居所を突きとめると王の伝令と偽って地下牢に現れ、油断した拷問係を一突きに殺したのです。
 
 王宮を抜け出し追跡をかわすうち、この都の主神である太陽神アモンの神殿に入りこんだ二人が目にしたのは、神殿の中央に据えられた巨大な黄金球、そしてその上に無惨にも両手足を釘付けされた老神官の姿でした。助け下ろされ介抱を受けた神官はかろうじて息を吹き返し、王子を認めると自分を球体のところまで運んでほしいと頼みます。老人の指が球の表面を探るとそれは真ん中で二つに割れ、地下への階段が現れました。
 
 下りた先の石造りの隠し部屋で、瀕死の老神官はレイノルに神殿の秘密を明かします。サルドポリスが築かれる以前、この地は恐るべき森の神によって支配されており、まさに今いる場所にその祭壇があったこと。そこに太陽神アモンを奉じる王家の祖先たちが攻め寄せ、森の神を『沈黙の谷』と呼ばれる地に魔術で封じこめたこと。しかしサルドポリスが滅びる時、その封印もまた解かれ、自由となった神はかつての住処に戻ってくると予言がなされたことを。
 そして今こそかの予言の時だと、かつての森の神の祭壇を塞ぐ位置に置かれた金属製の円盤を示し、中央にはめ込んである大理石片の護符を、都の彼方にそびえる山脈に住まう『岩山の奪取者』と呼ばれる男のもとに届けるよう依頼します。それこそが侵略者たちに対するアモン神の復讐だと最期の力を振り絞って言い遺し、神官は息絶えたのでした。

 隠し部屋の壁に設けられた抜け穴から脱出し、手に入れた馬で『奪取者』の山へとひた走るレイノルとエブリク。一方王宮では、破滅を防ぎたければ都から逃げた二人の男を目的地に着かせてはならないと、ネコがサイアクサレス王に助言していました。
  果たしてレイノルたちは後方に迫ってくる大勢の敵に気付きますが、険しい山中を巧みな馬さばきで乗り切って追手を引き離すことに成功し、天辺に城を頂く巨大な一枚岩のふもとに辿り着きます。ほどなく現れた騎馬の一隊に迎えられ、二人は城の主である『奪取者』キアリーの待つ大広間へ。
 
 アモン神の名にもサルドポリス陥落の報にも全く関心を示さなかった配下たちと異なり、自分への伝言と聞いただけでキアリーの様子は一変。レイノルから渡された護符を手に、ついにその時が来た、わが支配も終わりだと呟いた彼は、腹心の部下サマルを残して他の者たちを下がらせ、さらに娘のデルフィアを呼んでこいと命じます。

 デルフィアと呼ばれる若い女性が現れると、キアリーは改まった態度で自分たち一族とサルドポリスとの関係を語り始めます。
 遥か昔、北の地から二人兄弟の王がやって来てこの地を征服し、それ以前に崇拝されていた森の神―パン―を打ち負かしました。兄王はサルドポリスを建国して王家の祖に、弟王はパンを幽閉した『沈黙の谷』を見下ろす岩の上に城を築いて封印の監視役に。そして兄弟は誓約を交わし、いつかサルドポリスが滅ぼされる日が来ればすみやかにパンを解き放ち、簒奪者のもとへ差し向けるよう取り決めたのだと。

 話を結びかけたキアリーの前に部下の一人が血相を変えて駆け込んでくると、ふもとの谷が敵軍であふれかえっていると報告します。自分も一緒に戦うというデルフィアを父キアリーは退け、レイノルとエブリクを『沈黙の谷』へと案内するのはお前の役目だと諭すと護符をレイノルに返し、どう使えばよいかはいずれ分かると言い残して立ち去りました。恐れの色をありありと浮かべながらも、城内に設けられた隠し扉から谷底へ続く道へと二人を導くデルフィア。

 深い森に覆われた谷間はその名通り異様な静寂に包まれ、鳥や獣の気配どころか木の葉のさやぎさえも聞こえてきません。しかし歩みを進めるうち、レイノルの知覚はこの土地を満たしている人には聞き取れない音域の囁き、そして意識の奥底にひそむ、太古の地球の記憶と共鳴しあう生命の力をひしひしと感じ取るのでした。
 やがて神殿の廃墟とおぼしき場所に出ると、デルフィアは倒れた石柱に囲まれた一点を指し示します。そこには都のアモン神殿にあったのと瓜二つの金属の円盤が据えられており、その中心の凹みにもやはり大理石片がはめ込まれていました。レイノルが携えてきた護符の片割れをもう一方にあてがうと、二個のかけらはまるで磁力に引き合わされたようにくっ付き、一つに融合したのです!

 その瞬間森の囁きは堰を切ったような歓喜の叫びへと一変し、さらにそれを凌駕するつんざくような笛の音が響き渡ります。パンを見ることは死を意味します、すぐに立ち去らなければというデルフィアの声に促され、レイノルは無我夢中で完全な形に戻った護符を掴みとると、ざわめきを増してゆく森を仲間たちと駆け戻ります。

 城はすでにサイアクサレス王の兵士とキアリー一党の死闘の場となっていました。息つく暇もなく武器を抜き加勢する三人ですが、多勢に無勢、サマルをはじめとする部下たちは次々と斃れてゆき、最後まで奮戦したキアリーもついに壮絶な討死を遂げます。
 残ったレイノル、エブリク、デルフィアの三人を円陣に取り囲み、じわじわと追い詰める兵士たち。ですが絶体絶命と思われたその時、レイノルの記憶に新しい囁き声とかすかな笛の調べが彼方から聞こえてくると、たちまち城全体にこだます大音響に膨れあがったのです。うろたえる敵兵たちを横に、レイノルは直感的に持ってきた太陽神の護符に触れ、他の二人に側を離れないよう命じてそれを高く掲げました。
 
 たちまち霧のとばりが三人を取り囲んで護るかのように降りてきます。その霧の向こうに見え隠れしているのは、文字通りパニックに陥って右往左往する敵兵たち、そして歓喜の笛の音に合わせ狂ったように踊りながら駆けてゆく、角とひづめを備え毛皮をまとった者たちの影でした...
 
 土台から揺れ動く城が崩壊するのはもはや時間の問題と悟ったレイノルが意を決して護符を掲げたまま足を踏みだすと、霧の障壁は歩みにつれて動いてくれます。もはやためらわず、あらん限りの速さで岩山を駆け降りた一行が見上げる前で、頂上の城は跡形もなく崩れ去ってゆきました。
 幸いにも崩落より先に脱走していて無事だった馬たちを拾い、三人はサルドポリスの方角を目指します。しかし翌朝、都を一望できる場所に差しかかった彼らの前にもはや栄華を誇った都は存在せず、粉塵が舞う上におぼろな影のような姿のうごめく廃墟が横たわっているのみでした。パンの神はついに帰還し、かつて支配した土地を取り戻したのです。

 西方の『影の海』という街をさして旅立つことで合意し、めいめいの馬を駆って去る一行の背後から、全身ずたずたの無惨な姿となった男が助けを求めます。しかしその声は届かず、かつて王だったその男、サイアクサレスは苦痛に呻きつつレイノル達のあとを這い進んでいくしかありませんでした。傍らにはあいかわらず優雅で物憂げな様子のネコが薄笑いを浮かべて励ましの声を掛け、頭上では傷口から滴る鮮血に呼び寄せられたハゲワシが羽ばたくのを耳にしながら...


 
 カットナーといえばハイドラやニョグタなどの神格が登場するクトゥルフ作品で有名ですが、旧い荒ぶる神の封印と解放にまつわるこの話も若干そうした要素を含んでおり、全貌が明かされないパンの神とその眷属たちの描写などは神話的恐怖とでも呼びたくなる不安感をかき立てます。ハワードのコナン等と同じく、ヒロイックファンタジーとクトゥルフ神話とは地続きの関係にあることをよく示す一作といえるでしょう。パンの名前が出た時点で大まかな展開の予想はついてしまうとはいえ、そこから加速する緊迫感と歯切れ良い筆致に乗せられて最後まで一気に読みきってしまいました(少なくともこの作品に関していえば、カットナーの文体はかなり読みやすい方だと思います)。

 繰り返しますが、「ネコ」は古代エジプトのファラオにもいたNechoと綴る人名で、断じて猫ではないです(笑) かといって人間とも思えませんが... 上で書き忘れましたが、叡智と権力を追い求めるサイアクサレスがネコを呼び出し、ある取引を交わしたのが両者の出会いであるようです。つまりファウストとメフィストフェレスの関係といえばこれ以上説明するまでもないかと。

 あと上手い訳語が浮かばなかった「奪取者」(原語ではReaver)という呼び名はほぼそのままの意味でして、キアリーとその一党は近隣にある城などを襲い、財宝を分捕ってくるのを生業にしていた様子。封印を見張るだけでは暇を持て余しそうとはいえ、王家の末裔がそんな山賊まがいの事をやっていていいのか心配になりますが、周辺住民のヘイトを集めすぎて使命を果たす前に討伐されたりしては元も子もないので、もしかすると義賊的な面もあったのでしょうか?もちろんデルフィアもその一員として父親に負けない働きぶりを見せていたらしく、続く「暗黒の砦」では攫われヒロインポジになってしまい戦闘能力を発揮する機会のなかった彼女ですが、この作品を読んでだいぶ印象が変わりました。

  レイノルは有名ヒロイックファンタジーの主人公たちのような強烈な個性には欠けるものの、そのぶん比較的等身大の青年として親近感がわきやすくもあり、一方で王子らしい自負と風格もあって個人的にはかなり好きなキャラクターです。エブリクとのコンビも主従というよりは気心の知れた相棒同士に近い印象で、二作にとどまらずもっと彼らの冒険が続くのを読みたかったと思わずにはいられません。「暗黒の砦」での出来事のあと、三人は目指す「影の海」に首尾よくたどり着けたのでしょうか。

 ↓ネットで拾った、古代の中央アジアというよりは中世ヨーロッパ風なレイノルと名場面いくつか。後ろの城はサルドポリス?

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テーマ:海外小説・翻訳本
ジャンル:小説・文学

2018.09.01 17:26|怪奇幻想文学いろいろ
 前回のダイイング・アースRPGキャラクター作成続き。暫定残り33点のクリエーション・ポイント(cp)を先に決めた主要技能以外の要素に割り振っていこうと思います。

 ―個別技能を選ぶ

 個別技能(Indivisual Ability)はさまざまな専門的知識・技術をどれほど有しているかを示すもので、アルファベット順にAppraisal(鑑定)、Athletics(水泳・登攀・跳躍等運動全般)、Concealment(隠す/隠れる)、Craftsmanship(製作)、Driving(運転)、Engineering(機械操作・修理)等全部で二十二種類。(あまりファンタジー的でない〈運転〉や〈機械操作〉ですが、この世界には「終末期の赤い地球」で登場したようなかつての機械文明の名残りがいまだに存在している設定なので、それらの遺物を動かせる技能も含んでいるのかもしれません)

 取得できる数に制限はなく、また一つも選ばなくても構いません。1ランクにつき1cp、11ランク以上は追加コストが必要になる点は取得必須の五技能と同じ。まあこの辺りはフレーバー感覚で、使用頻度が高くキャラの現時点イメージとも外れないようなものをとりあえずチョイス。10cp残すのを目安とし、合計23cpぶんとなるよう振り分けてみます。

 Athletics〈運動〉:7  Etiquette〈作法〉:4  Perception〈感知〉:7  Wherewithal〈胆力〉:5 (暫定)

 Wherewithalという単語は辞書を引くと「~をするのに必要な(特に金銭面での)手段」とありますが、説明では「苦痛や超自然的恐怖に直面しても決断力を保てること」となっているためあえて〈胆力〉と意訳しました。アメリカンスラングでは「やる気」という意味もあるらしいのでそちらのニュアンスに近い?要はSANチェックに失敗しづらいという、なかなか心強い能力です。

 ―〈抵抗力〉の種類と値を決める

 このダイイング・アースRPGの特徴の一つが、能動的アビリティばかりでなく、自身に不利益をもたらしかねない各種の欲望をどれほど制御できるかを示すResistance(抵抗力)にもランクが設けられていること。いつ地球が滅びるかわからないという諦めと厭世感が支配するなか、人々が刹那的な快楽におぼれやすくなった退廃的世界観を強調するためでしょうが、シナリオの各所に〈抵抗力〉ロールをさし挟むことで緊張感を増せるでしょう(もちろんGMが適切なシチュエーションを考えなくてはなりませんが)。技能チェックと同様に処理し、成功すれば誘惑に打ち勝てたというわけです。

 存在するのは1:Resist Arrogance(傲慢への抵抗力) 2:Resist Avarice(貪欲への抵抗力) 3:Resist Indolence(怠惰への抵抗力) 4:Resist Gourmandism(美食への抵抗力) 5:Resist Pettifoggery(些事への拘りへの抵抗力) 6:Resist Rakishness(放蕩への抵抗力) の六種。
 
 個別技能と同じく、〈抵抗力〉は取得必須ではなく幾つ選ぶかも自由。ただし一種類の〈抵抗力〉に限り、1D6でランダムに選ぶならば、その欲と無縁であることを示す"total immunity"(完全免疫。該当する欲望に対してのみ〈抵抗力〉ロール免除。キャラシにはΩマークで表記)、自分の希望で選べば、1/2ボーナス(3cp)相当のランクを無償(所持cpから差し引く必要なし)で得られるとのこと。また、あえて〈抵抗力〉に一切cpを割り振らないのであれば、他の要素に費やすボーナス一回分(6cp)を新たに獲得できます。

  あとキューゲル・レベルのキャラにはほぼ不可能そうながら、一つでも15ランク以上のアビリティを有する場合〈傲慢への抵抗力〉は0となり、ダイスでその番号の1の目が出た場合振り直しとなります。飛びぬけた才能にはどうしても驕りがつきまとうということなのでしょう。

 ここは追加cpの対象にはならないようですが、やはりランダムチョイスの方が強いので今度もダイスで決めることにします。
 出目は4:Resist Gourmandism〈美食への抵抗力〉、つまり飲食に対する欲やこだわりが皆無に近い人に。しかし少食だと大柄で敏捷という先のロール結果のイメージと結び付けづらいので、空腹さえ満たせれば何でもいい系の味音痴タイプ? 食べること自体に不自由はしなかったけれど美味しいものを味わえないような環境で育ったとか。

 残すところ10cpとだいぶ厳しくなってきましたが、一種しか持たないのはなんとなくアンバランスなので、他に「貪欲」と「些事への拘り」への〈抵抗力〉も取っておきます(作成者個人の価値観を持ちこんで恐縮ですが、細かいことにうるさい人間がひじょーに苦手なもので)。 10の半分使ってそれぞれ2cpと3cpずつ。

 よって〈美食への抵抗力〉:Ω 〈貪欲への抵抗力〉:2 〈些事への拘りへの抵抗力〉:3

 ―所持品を決める

 前述のとおり、このゲームでは技能だけでなく所持品も一つにつき1cpで購入する方式。もっとも裸でうろつくPCがいてもまずいと、無償で2cpは身につけるものに使ってよいと記載されているので、実質服と履き物にはcpを支払わなくてよいと思われます。
 というか「キューゲル・レベル」のキャラはスタート時の所持品を最低限にとどめねばならず、現金、魔術アイテムを含む貴重品、移動・運搬の手段となる動物または乗り物、さらには食糧の携行も禁止というなかなか容赦のない指定がされているのですが...

 最終的にどちらの武器を選ぶかや身なりの詳細は、キャラのパーソナリティが固まってからでないと決めづらいためここでは保留しますが、衣服と靴のほか、武器(習熟している大弓かこん棒のどちらか) 、寝具、便利な道具を何か一つくらいは持っておきたいもの。これで3cpなので、最後の2cpで呪文を一つ買えばぴったり90です。

 ―取得する呪文を選ぶ 

 〈魔術〉が上限7ランクのキューゲル・レベルキャラが操れる魔法はかなり限られており、「単純」と「複雑」とに区分される呪文のうち「単純」カテゴリのものしか使えず、自身の〈魔術〉ランクの数値を超える数の呪文を持つことはできません。またD&Dに影響を与えたとされる、呪文の記憶システム(必要と思われる呪文を前もって脳内にインプットしておき、適切なタイミングで使う)もちゃんとありますが、こちらは呪文1つを覚えるのに〈魔術〉2ランクが必要となります。すなわち〈魔術〉3ランクのキャラであれば、「単純」呪文を開始時3つまで取得できますが、記憶して使いこなせる呪文はそのうち1つのみとなるわけです。
(それもそのはずで、「単純」カテゴリの呪文でも詠唱にはたっぷり20分かかり、それも適切な身ぶりを交えつつ一字一句正確に発音しなくてはならないというとんでもない代物。よって急場にその手順を省くため記憶システムがあると考えられます)

 現在作成中のキャラには〈魔術〉を4ランク確保してありますが、cpは2しか残っていないので呪文は一つしか買えません。まあ切り札的な一本があれば、あとはキャントラップ(簡単な呪詛・祝福)で切り抜けるのも悪くないでしょう。
 クイックスタートで選べる呪文は十種類のみ(ちなみに「終末期の赤い地球」の「魔術師マジリアン」の章で言及されるところによれば、この世界に存在する呪文はおよそ百種類とのこと)。「ベヒモスの大盤振る舞い」(ボリュームたっぷりの食事を出現させる)・「応急湿布」(ダメージ治癒)・「剛毅なる上腕の術」(筋力を一時的に増強)※訳は適当 などがありますが、ここは原作ファンとして「ミール城のトゥーリャン」にも登場する呪文、「ファンダールの透明マント」(Phandaal's Mantle of Stealth)を選んでみました。どんな状況でも姿を消せるのは便利ですし。あ、意味もなく悪いことには使いませんよ。

 ですが、クイックルールの〈魔術〉の項を読み直していてちょっとした問題に気付きます。原作にも描写があるように、この世界の呪文は記録媒体とセットであり(D&Dと同じく記憶したとしても、一度発動すれば頭から抜け落ちて再度覚えなくてはならないため)、従ってプレイ開始時に呪文を購入したキャラクターは同時にそれらが記された魔導書をも所持することになるとあるのです。
 え~、さっき持ち物を考える時本は計算に入れてなかったんですけど、となると道具は一つも持てない? なんか長旅の必需品は一揃い持たせてくれる他のTRPGが親切すぎるくらいに思えてきました(笑)
 
 ―プロフィールを作成し、名前をつける
 
 これで一通りのcp配分は済んだわけですが、まだ一番楽しくかつ難しい最後の段階が残っています。すなわち今までに決めてきた技能の〈型〉をはじめとする特徴から、そのキャラクターの姿形、年齢、性格、背景等を導き出し、人物像に肉付けを施していくわけです。

 もちろんPLにどんなキャラにしたいという明確な青写真があれば、(ボーナスを貰えないかわり)最初からふさわしい選択肢を選んでイメージ通りに仕上げるのもありでしょう。しかし今回のようにすべての選択肢をダイスでランダムに決めると、メインの性格指標となるであろう〈説得〉と〈拒絶〉において、「ひどく曖昧で複雑な話し方」が特徴ながらも、「純粋すぎて邪悪な誘惑を退け」てしまうという、微妙に掴みどころのない不思議くんが誕生するのはある程度避けられません。〈説得/雄弁〉の〈拒絶/鈍感〉みたいに、極端に矛盾した組み合わせでないだけまだましですが。 
 
 一方フィジカル面では、〈攻撃〉が「剛力」、〈防御〉が「眩惑」型という腕力と敏捷力双方に恵まれたタイプとなったので、これは体力的に今がピークの、ハイティーンぐらいの若者という感じです。その年頃なら超がつくピュアでもまだぎりぎり許されそうだし、隔絶された環境で本だけを相手に育ったことにして、回りくどくややこしい話し方はおもに人との会話より古めかしい書物から言語知識を得たからとしよう...と。あと〈魔術〉に関しては権力主義タイプという設定もあったか。
 というわけで上記を踏まえた生い立ち。そこまで詳しくする必要はないということなので、かなり大雑把です。
 
 かつては強大な魔術で近隣を支配していた旧家の末裔として生まれたが、父親は物心つく前に失踪、留守を預かるのに嫌気が差した母もほどなく幼い息子を置いて館を出てしまう。以来先祖たちが張りめぐらせた魔力のおかげでかろうじて荒廃を免れている広大な屋敷で、一族の遠縁にあたる無口な老乳母と二人きりで暮らし、庭で遊んでは古い書物に読みふける日々を送ってきた。
 
 そこには貴重な魔導書も少なからず含まれていたものの、さほど魔術の心得がない乳母には代々の当主たちが受けたような本格的な修練は与えられない。少年が血筋の天分と読書によってほぼ無意識に身につけていた初歩知識のあとは、危険が迫ったときに有用と考えた不可視となる呪文を一つ教え込むのがやっとだった。

 しかしその乳母も少年が十七歳を迎えて間もなく老衰で世を去り、亡骸を庭の一隅に埋葬した彼は、これまで書物でしか知らなかった広い世界を見に旅立とうと決意する。唯一操れる呪文が記された本、そして埃と錆だらけの武器庫でたった一つ使い物になりそうだった弓矢と簡単な寝具だけを携え、あてもなく地平線の彼方をさして歩きだしたのだった...


 実のところ没落した旧家と荒れ果てた屋敷というのはドムバー家の城館(キューゲルに酷い目にあわされたダーウェ・コレムの屋敷)のイメージを拝借した部分が大きいんですが、その点はまあ大目に見てください。
 
 最後に一番肝心な名前。実際にプレイするわけでもないし名無し君でいいかとも思ったんですが、ここは製作者的には世界観のためこだわるべき要素らしく、平々凡々な名前のキャラなんてGMはオープニングで瞬殺すべし的なことがわざわざ書いてあるほどなのです。ヴァンスのファンタジー作品に出てくる固有名詞って独特の語感だから、耳に馴染みのある西洋人名と違った響きの名前を一から考えつくのが難しいんですよね。

 結局全く真面目に考えないまま、名前なんて飾りじゃん!ということでカザリヤンと命名(ひどい) マジリアンの兄弟っぽい。
 
 ともかくこれで一通りのcp配分はすんだので、キャラシートを見直して割り振りcpの微調整をします。なんとなく〈防御〉から〈胆力〉に1ポイント移動させてそれぞれ9→8、5→6ランクに変更。これでちょうど48+24+5+3+10=90ポイントです。
 また良家の生まれならと持たせてみた「作法」ですが、本に埋もれて育ったならPedantry(アカデミックな類いの学識)のほうがふさわしそうかなと、ランク値は同じまま〈作法〉→〈学識〉にしてみました。

 ということでこちらが最終的なデータとなります(各技能・所持品の取得に必要なcpの値に関しては前回記事も合わせてご覧ください)

 能力値 
 共通技能 〈説得/曖昧模糊〉:10 〈拒絶/純真無垢〉:11 〈攻撃/剛力〉:9 〈防御/眩惑〉:8 〈頑健〉:9 (合計48cp)
 
 個別技能 〈運動〉:7  〈学識〉:4  〈感知〉:7  〈胆力〉:6 (合計24cp)
 
 抵抗力値 〈美食への抵抗力〉:Ω 〈貪欲への抵抗力〉:2 〈些事への拘りへの抵抗力〉:3 (合計5cp)

 所持品・服装 古びた絹服/革のブーツ(この二点はノーコスト)/ロングボウと矢/毛布/魔導書 (合計3cp)

 〈魔術〉:4 型:力ずく 開始時所持呪文:「ファンダールの透明マント」 (合計10cp)
 
 
 あとはキャラシに項目のある簡単なプロフィール。

 名前:カザリヤン 性別:男 年齢:17 
 
 髪の色、長さ:色は黒。乳母を亡くしてからは伸び放題のため上着から取った紐で後ろに束ねている

 容貌の特徴:眠そうな茶色い目のおっとりした顔立ちで、表情の変化に乏しい。服装と相まってどことなく浮世離れのした雰囲気(美形かどうかはご想像にお任せします)
 
 目立った癖:ひげが生えかかっている顎をこする
 
 身なり:旅立つまえ屋敷の衣裳部屋から持ち出した昔風の絹服一式。金糸織りの豪奢なものだったが、今となってはひどく古び色褪せてしまっている。足には衣服と不釣り合いな使いこまれた革製ブーツ。背中にはこれまた立派ながらも古びた弓と矢筒、本をくるんだ毛布を背負っている


 性格・態度:
 一見茫洋としているようでいて裏表のない素直な気性。基本的に他者には興味がなく、また感情の機微に聡いわけでもないが、本人に自分の心を偽るという観念が欠如しているせいか、不思議と相対した人間の隠し事を見抜くのに長けている。 
 初めて実際に触れる外の世界の何もかもが目新しく、次から次へと新しい発見を求めて一か所にとどまるのを嫌う。
 口達者ではないものの、一旦会話に入りこむと考えたことを余すところなく語りつくそうとする。それも昔の書物で習い覚えた成句や婉曲法を駆使して長広舌を振るうので、相手はたいてい煙に巻かれ会話の主導権を譲ってしまう。

 
 一言でいうと、世間ずれしていないぶん一般人の感覚からずれた人(そもそもダイイングアースに一般的感覚といえるものが存在するのなら)でしょうかね。 なお彼に食についへの関心がないのは独特の料理センスの持ち主だった乳母さんの手料理で育ったせいで、気の毒にも普通の食べ物が合わない味覚が形成されてしまったためです(笑)
 
 ダイイング・アースRPG、簡易ルールといえども原作へのオマージュが随所に感じられるユニークで興味が尽きないゲーム性なので原作の未訳ぶん共々いつか日本語化してほしいものです。ロールプレイ重視、かつプレイヤーとGM、またはプレイヤー同士の駆け引きを推奨するような性格がなきにしもあらずなので、私のような初心者にはちょっとばかりハードル高いかもしれませんが。

 どうやら私は無自覚のうちに背景などディテールに拘ってしまうほうらしく、最初は簡素にまとめるつもりだったのが予想以上に長くなってしまいました。まあここで書いたのは一応クイックスタート版ルールの手順を踏襲してはいても、あくまで私個人のキャラ作成方法にすぎないので、こんなものかという一例としてごらんください。というわけでここまで長々とお付き合いいただいて本当にありがとうございました。

テーマ:TRPG
ジャンル:ゲーム

2018.08.02 21:43|怪奇幻想文学いろいろ
 「終末期の赤い地球」や去年邦訳が出た「天界の眼」など、はるか未来の地球が舞台のジャック・ヴァンスのファンタジー、「ダイイング・アース」シリーズに基づいたテーブルロールプレイングゲーム(TRPG)があるというのを以前小耳に挟んで面白そうだなと思っていました。ところがThe Dying Earth RPGで検索してみると、簡易ルールのクイックスタート版ならゲームの紹介ホームページで無料入手が可能とのこと(もっと早く気づけばよかった)。さっそく落として読んでみました。
 
 このページからダウンロードできます(再配布は禁止)→https://www.dyingearth.com/downloads.htm

 プレイキャラクターの作成方法に加えて行為判定、戦闘、魔術といった基本ルールが一通り解説されており、限られた範囲ではありますが大まかなゲームシステムの把握には十分。ただし私自身世界観について不明なところが多い(全部で四冊の本からなるシリーズのうち、翻訳済みの先述二冊しか読んでいない)うえ、TRPGの経験もまだまだ浅いので、ところどころ理解が怪しい箇所があるのは否定できませんが。
 
 今のところプレイする予定は全くないものの、ダイイング・アース世界のオリジナルキャラを作ってみたい誘惑に勝てず(笑)ひとまずプリントアウトしたキャラシに手持ちのダイスを振ってキャラメイクだけやってみました。ダイスを振って決めるランダム要素が多いので、これだけでも結構楽しかったです。読みづらくて恐縮ですが、以下にその作成過程を記していこうと思います。

 ―クリエーション・ポイント(cp)とボーナスについて
 
 このゲームにはキャラクターの能力レベルごとに三段階のキャンペーンが存在し、それぞれ当てはまる原作登場人物の名を取って"キューゲル"(ご存知「天界の眼」とそれに続く「キューゲル・サガ」の主人公)、"トゥーリャン"(「終末期の赤い地球」前半に登場する魔術師)、"リアルトー"(未訳の第四作Rhialto the Marvellous で主役を張る大魔術師)レベルと呼ばれます。いわば初級・中級・上級者コースのようなものですが、今回のクイックスタート版で作れるのは、一般人に毛の生えた程度の"キューゲル"レベルのキャラのみ。
 
 "クリエーション・ポイント"(以下cp)と呼ばれる点数があらかじめ定められており、スタート時の能力・技能値、さらには所持品(物品だけでなく呪文も含む)まで、すべてこのcpの割り振りによって決められます。キューゲル・レベルのキャラに与えられるcpは60ポイントですが、これはあくまで初期値であり、次に述べる「ボーナス」によって増やすことが可能です。
 ボーナスを得る条件は「六択の選択肢のうち一つに決めるとき、ダイスに選択権を委ねる」ことで、これ一回につき6cpがもらえます。具体的には、各主要能力値には六つの異なったタイプ(Style/型)があり、キャラがそのうちどのタイプに属するかは自分の好みで決めても構いませんが、六面ダイスを振って出目の番号にあたる「型」を採用すれば、ダイスで選んだアビリティの数×6のボーナスポイントを初期値の60に加算してよいというわけです。

 ―共通技能+〈魔術〉の「型」を決める

 このようにトータルで得られるcp値は、ダイスによるランダムチョイスを最終的に何回行ったかで変動するため、先に選択対象となる各技能の「型」を決定していきます。システム上必須となる共通アビリティは以下の五つ。今回のキャラメイクでは最大限のボーナスを得るため、ダイスを振れるところではすべて振ることにしました(その方が面白いですしね)

Persuade 〈説得〉 このゲームでもとりわけ重要と明言されている技能で、直訳だと「説得(する)」となりますが、要は相手に会話を通して訴えかけ、自分の意に添うように動かそうとする交渉術です。キューゲルがいい例ですが、ダイイング・アースで生死を分けるのは戦闘技能より口先の達者さのようです。
 
 出目ごとの選択肢 (※それぞれ説明がつきますが、当たった目以外のものは長くなり過ぎるため省略します) 
1:Glib(饒舌) 2:Eloquent(雄弁) 3:Obfuscatory(曖昧模糊) 4:Forthright(単刀直入) 5:Charming(魅力的) 6:Intimidating(威圧的)

 最初の1D6は3のObfuscatoryでした。説明:「君のきわめて曖昧でややこしく入り組んだ語り口に、会話相手はその意味を汲みとることも自分の当惑を認めることもできず、君が話す事に一も二もなく同意してしまう」 いきなり一番変わったのが来た(笑)
 
Rebuff 〈拒絶〉 Persuadeと対になる、自身に不利益を招きかねない誘惑を退ける能力。
1:Obtuse(鈍感) 2:Wary(慎重) 3:Penetrating(看破) 4:Lawyerly(法律家) 5:Contrary(天邪鬼) 6:Pure-Hearted(純真無垢)

 次の出目は6のPure-Hearted。解説はこう 「あまりに純粋で愚直な君は、君を陥れようとする者たちの陰険なたくらみすら意図せずして暴いてしまう」
 なんだかよくわかりませんが、ピュアさも度を越すといかなる誘惑にも無敵になるものらしいです(パルジファルかな?) しかし複雑かつ曖昧な話し方をするくせ純粋無垢とはますます謎なキャラに...。

Attack 〈攻撃〉 文字通り、戦闘において相手に武器でダメージを与えようとする技能。
1:Strengh(剛力) 2:Speed(スピード) 3:Finesse (精緻) 4:Cunning(狡猾) 5:Ferocity(獰猛) 6:Caution(用心深さ)

Defense 〈防御〉 自分に向けられた攻撃を防ぐ。
1:Dodge(回避) 2:Parry(受け流し) 3:Sure-Footedness(安定感) 4:Intuition(直観力) 5:Misdirection(眩惑) 6:Vexation(挑発)

 今度は二回まとめてダイスを振ったところ1と5が出たので、〈攻撃〉がStrengh(剛力)、〈防御〉がMisdirection(眩惑)タイプとなりました。大柄で並外れた筋力にめぐまれ、かつ相手の目をくらますほどに素早く動けるということなので、とりあえず身体能力は高そうで一安心。
 
 なおこのゲームでは〈攻撃〉技能のうちどの「型」に属するかで、プレイ開始時に取得している武器技能の種類が決まります(後述するように、それで必ずしも武器そのものを「所持」していることにはならないようですが) 近接用と遠距離用の二種類があり、1の「剛力」タイプであるこのキャラクターなら、「型」別の専用武器であるこん棒と大弓の技能をあらかじめ持っていてよいというわけです。それ以外の武器を使いたいのであれば個別に取得もできますが、追加でcpを支払わなくてはなりません。

Health 〈頑健〉 キャラクターがどれほどダメージに耐えうる体力を有しているかを示す値、つまりHPです。数値だけなので、ここでは「型」分けのためのダイスを振る必要はなし。ここまでが取得必須の技能ですが、現段階でダイスを振った回数は四回(24cp)となります。

Magic 〈魔術〉 最低でも1ランクは取得しなければならない上の主要五技能と異なり、〈魔術〉には必ずしもポイントを割り振る必要はありません。また原作の登場人物たちもあれこれ苦心していたように、特に難しいアビリティである〈魔術〉には、習得に他の技能の二倍分のポイントがかかるうえ(魔術を5ランク取るには10cpが必要ということ)、"キューゲル・レベル"のキャラクターが到達できる上限は7ランクまでという制約が存在します。
 ※ただし〈魔術〉を持たないキャラでも、成功条件がかなり厳しくなりますがCantrapと呼ばれる簡単なまじないは掛けられます。「天界の眼」の「シル」の章で出てくるような特定の相手に向けての呪詛もしくは祝福で、範囲が限られているとはいえ効果は侮れないもののよう。

 コストがかかるとはいえ〈魔術〉は取ってみたいものなので、まず他の技能と同じように属する「型」(この場合は魔術に対するキャラのスタンス)だけダイスで決めることにします。もちろん好ましいものがあればボーナスを得られないかわりそれを選ぶこともできます。

1:Studious(学究の徒) 2:Insightful(洞察者) 3:Forceful(力ずく) 4:Daring(大胆不敵) 5:Devious(いかさま師) 6:Curious(好奇心)

 ダイス目は3:Forceful(力ずく)。「魔法とは世界を君の意思の下にひれ伏させるための技である。君は各種の魔法的存在をその呪文によって従えている」
 何となくピュアな不思議君をイメージしていたのがここに来て権力志向の王様キャラに...魔法が絡んでくると人格が豹変するタイプか、さもなくば代々魔術を使って権力を握ってきた家系の出とかでもいいかも。

 ―技能へのcp割り振り
 
 これで「型」別に分かれている技能はすべて選び終えましたが、合計五回オプションのダイスを振ったので、キャラメイクに使えるのは初期値の60にボーナス分の6×5=30を加えた合計90cpということになります。
 cp割り振りを必要とするのはこれらのアビリティ以外にも、「鑑定」「製作」「感知」といった一般技能と初期所持品・呪文、さらにはこのゲームの特色の一つである、破滅につながるさまざまな欲望にどれほど屈せずにいられるかを示す「抵抗力」値と多岐におよぶのですが、ひとまず目安として上の六つへのcp配分をざっくり決めておこうと思います。

 原語ではrateで表される能力値は、〈魔術〉を除きキューゲル・レベルでは原則1から10ランクの範囲。数値が大きいほど高い能力を示し、1cpを費やすごとに1ランクを取得できます(※rateを「級」であらわすと、日本語ではどうしても小さい数の方が優れているような印象になるので、ここでは勝手ながら「ランク」という表記を使わせていただきます。) それより上のランクを獲得するには、11ランク→+2、12ランク→+4、13ランク以上→+8の追加コストが必要。コストは1ランクごとに加算する仕様のため、一つの技能を13ランクにしようと思ったら10+2+4+8=合計24cpがかかってしまうというわけです。

 〈魔術〉以外の共通技能五つの最低ラインは1ランクですが、解説によればこれら全て8ランク以上あるのが望ましいとのこと。ここでは説明しきれませんが、行為判定の際にダイスロールで思わしい結果が得られなかったり敵対者に負かされたりした時には、使用技能のランクに等しい「アビリティ・プール」と呼ばれる数値を消費することで再ロールが可能になるというルールがあるのです。
 
 まあボーナスでcpも1・5倍に増えたことだしと、〈説得〉〈拒絶〉には強気に10cpずつ、残りの〈攻撃〉〈防御〉〈頑健〉もできれば各9ランクずつは欲しい...すると合計47cpになります。
 でもまだ90の半分ちょいなので、2点ぐらいならいいかなと10ポイント越えの技能を一つは作りたい誘惑にかられます。どちらにするか迷いましたが、なるべくトラブルに巻き込まれないよう(?)〈拒絶〉を11ポイントに上げてみることにしました。キャラ的にはますますバカピュアになる訳で、むしろ危なっかしい気がしないでもないですが(笑) これで暫定49ポイント。

 次に〈魔術〉。力で従えるという「型」のイメージ的にそこそこのランクは欲しいので、一応4ランク(8cp)分を確保しておきます。なおゲーム開始時に身につけている呪文は別コスト(一つにつき2cp)のため、後から選ぶつもりのそちらも念頭に置いておかなくてはなりません(やっぱり一、二種類は持っておきたいですよね)。

現段階での暫定的ランク→ 〈説得〉:10 〈拒絶〉:11 〈攻撃〉:9 〈防御〉:9 〈頑健〉:9 〈魔術〉:4 

 ここまでの消費cpはトータル57ポイント(残り33)。まだ使いどころがいろいろ残っていることを考えるとマイナス修正が必要かも。しかし長くなりすぎてしまったので、一旦切って続きは次回の記事で上げさせていただきます。さてどんなキャラクターが誕生することでしょう。

(9/1追記 続きをアップしました)

テーマ:TRPG
ジャンル:ゲーム

2017.12.31 04:27|怪奇幻想文学いろいろ
 今年もさぼっていたらまたも大晦日の更新になってしまいました。うちは喪中でお正月はなしですが、2018年もよろしくお願いいたします。

 「虚ろなる十月の夜に」を読んだあと、ホームズ+クトゥルフのテーマ繋がりで二年前に一度プレイしたきりだったこのゲームが無性にやりたくなり、のべ一か月くらいかけてのんびり遊んでました。
 "The Awakened"(=「目覚めさせられしもの」、すなわち海底での眠りから呼び覚まされようとするクトゥルフをさすと思われます)というタイトルの、シャーロック・ホームズと邪神教団の対決を描いたオリジナル・ストーリー。プレーヤーはホームズ(まれに相棒のワトスン)を操作し、行く先々に残された手掛かりをたどって背後に隠されたクトゥルフ復活の陰謀を阻止するべく奔走することになります。
 Frogwaresという会社が出している一連のホームズ物シリーズの一作ですが、ドイルの原作からして怪奇小説成分が多いこともあり、名探偵ホームズの冒険にクトゥルフ神話要素が違和感なく組み込まれていてストーリー面での評価も高いようです。

 オープニングはおなじみのベーカー街221Bから。例によって興味をひかれる事件がないと退屈中のホームズですが、気晴らしにと近所の本屋を覗きに出かけた帰り道で、こちらもすぐそばの屋敷に往診に来ていたワトスンに呼び止められます。
 その家の召使であるマオリ族の若者が夜間に忽然と姿を消し、主人(ワトスンの患者)は英国に不慣れな彼が外で面倒を起こしはしまいかと気に病んでいるというのです。しかも立ち会いの警官によれば、最近ロンドンでは同様の外国人失踪事件が相次いでいるとのこと。
 
 ホームズはさっそく消えた男が寝起きしていた庭の小屋を調べ、遺留品の分析から、彼が自分から逃げたのではなく、海運業に携わっている二人組の男に寝込みを襲われ連れ去られたことを突きとめます。
 さらなる手がかりを求め、埠頭の倉庫街へと調査に向かうホームズとワトスン。聞き込みを重ねたすえに疑惑の人物が出入りしていると思しき倉庫へ忍びこむと、中には謎めいた血文字のメモが残された手帳と巨大な床の上げ戸が。その下に隠された地下通路を進み、突き当りの仕掛け扉を開くと、蛸のようなおぞましい姿の石像の前に惨殺死体の横たわる隠し部屋が姿を現しました。またそこには大勢の人間が、抵抗できないようアヘンを投与されて閉じ込められていた形跡もあったのです。

 ベーカー街に戻ったホームズは、一連の行方不明者たちは倉庫の地下に一時監禁されたのち、荷箱に詰められ「船荷」として国外に運ばれたのではないかと推理。しかしあれほど大量のアヘンをどこから調達できたのかといぶかしんでいると、ワトスンが職業知識を生かし、規制の緩い医療用の名目で輸入されたものではないかと珍しく役に立つアドバイスをくれます。
 
 現場に引き返して捜索すると、まさしくワトスンの見解通り「ブラック・エーデルワイス」というロゴの入った薬品ラベルが近くで見つかりました。その名を持つスイスの医療施設(※エーデルワイスはスイスの国花)がカルト教団と共謀して事件に関与しているという結論に達し、二人は英国を離れ大陸へと調査に乗り出します。
 目指す「ブラック・エーデルワイス」はアルプスの山の中に建つ精神科のサナトリウムでした。ワトスンが医者の肩書を使って院長のガイギャックス博士に接触する一方、患者を装って病棟の内部に潜入を試みたホームズは...。

 序盤のあらすじはざっとこんな感じ。ホームズとワトスンの探索はアルプス山中からさらにアメリカのニューオーリンズ、クライマックスとなる北海の孤島へと続き、神話にふさわしく世界規模のストーリーが展開します。とりわけホームズにとって因縁の地であるスイスの章では(ちなみに、私の記憶違いでなければこのゲームの出来事は1894年という設定だったはず)、おまけ的な要素とはいえちょっとした衝撃の事実が判明したりも。
 
 このサナトリウムのステージがまた曲者で、監視人のいる場所で下手に動いて見つかると即ゲームオーバーになってしまい、何度やり直す羽目になったことか...(進行は好きなところで保存できるのでこまめにセーブしましょう)。普段クリック一つで移動可能なタイプのPCゲームしかやらないもので、私の操作勘がおそろしく悪いのも一因ではありますが。
(ただし購入したBigFishというサイトのレビューなど見ても、移動時の操作性に難ありなのは共通認識のよう。視点は一人称と三人称とで切り替えられますが、後者はどうにも使いづらいので探索するには一人称のほうが楽です。私がやるとホームズが酔っぱらいみたいな歩き方になっちゃうんですけど)
 
 でもそんなトラップの存在も緊張感を高めるのに一役買ってはいるし、夜の埠頭、地下病棟、ジャングルの奥深い沼地といった不気味さ満点のロケーションは一昔前のグラフィックながら非常に良く作りこまれています。そこを自分の足で地道に調べてまわり、得られた情報から次の行動を考えるという、ちょっとしたクトゥルフ・バイ・ガスライト(ヴィクトリア朝舞台のクトゥルフTRPG)の探索者気分を味わえるのが一番のおすすめポイントかもしれません。
 
 かなりのボリュームに加え、難易度は全体的に高めでやりごたえも十分。ただホームズを操作しても頭脳を共有できるわけではないので、今回は迷ったら即攻略を見る方針でいきました(笑) というのも前のプレイ時には操作に不慣れなのと自力で解くのにこだわったせいで時間がかかり過ぎ、ようやくクリアできた時には序盤の伏線をすっかり忘れていたという苦い思い出があったからですが、今度はストーリーに集中できた分事件の全体像がすんなり把握できて納得のエンドを迎えられました。
 
 予告編

 
 https://www.bigfishgames.com/games/2907/sherlock-holmes-the-awakened/?pc
私が購入したBig Fish Gamesのサイト (一時間の無料トライ可)

 日本語サポートはされていませんが、ネットに有志の方による翻訳、また日本語での実況動画もあるのでそちらも参考にできます。なおグラが粗いおかげでリアル感が多少薄れているとはいえ、グロテスクなシーンが少なくないのでそういうのが苦手な方はご注意ください。

 ホームズVS切り裂きジャックという続編もあるそうで、そちらもいずれプレイしてみたいとは思ってるんですが...。

テーマ:PCゲー
ジャンル:ゲーム

2017.11.08 02:13|怪奇幻想文学いろいろ
  イベントやコスプレの類いとは縁のない私ですが、今年のハロウィンで楽しみにしていたのがこの本の発売。まさしくハロウィンが題材の、ゼラズニイ最後の長編A Night in the Lonesome Octoberの本邦初訳です。
 ゼラズニイ作品についてはこのブログを始めたばかりの頃、ヒロイック・ファンタジーのディルヴィシュ・シリーズのことを一度書きましたが(今読むと酷い内容)、あとがきによると日本ではその後篇「変幻の地のディルヴィシュ」以来27年ぶりの新刊だとか。翻訳はクトゥルフ関連の本でも時々お名前を見かける森瀬繚氏。

 9784801912670-m.jpg  竹書房「虚ろなる十月の夜に」
 
 舞台はヴィクトリア朝の英国。十月末日のハロウィンが満月と重なる年の夜に限って行われるある儀式に向け、開催地となるロンドン郊外の村に参加者たちが集います。この儀式とは二つの陣営に分かれて勝敗を争う一種の「ゲーム」であるため、それに加わる者は「プレイヤー」と呼ばれ、少しでも有利に事を運ぼうとあらかじめ丹念な調査と準備を行うのです。
 ゲームの概要とは...

 「虚ろなる10月、その満月のハロウィーンの夜、適切な数の人間が、適切な場所に引き寄せられ、旧き神々が地球へと
 帰還するための道が開かれようとする。
 そして、人々の中のある者たちは道を開く手助けをするが、他の者たちは道を閉ざし続けようと努めてきたのである。
 ...プレイヤーたちは、特定の魔道具やその他の魔力を宿す物を獲得し、指定された場所で相まみえて、お互いの意思の力―― 
 魔力をぶつけあうのだ。」
(本文P278より)

 はじめに言ってしまいますと(ご存知の方なら上の引用だけでピンとくるはず)、この小説はオマージュやフレーバーの域を超えたクトゥルフものなので、一応クトゥルフ神話に関して最低限の知識を得たうえで読んだほうがより楽しめます。昨今のクトゥルフTRPGブームのおかげもあり、作中に登場する固有名詞についてはネット検索すればすぐに情報が得られることだし。

 最終的にどちらの陣営に与するかはゲーム開始時まで伏せておくルールのため、プレイヤーたちは基本的に個々で準備を進めなくてはなりません。とはいえ、流石に一人で全てをこなすのは不可能とみえ、ほぼ全員が助手として「使い魔」の動物を従えています。
 物語の語り手をつとめるのも、そうした「使い魔」の一匹である犬の「スナッフ」。ベテランプレイヤーの主人、ジャックと長年行動を共にしてきたらしいスナッフは、番犬としての見張りやパトロールはもちろん、儀式に必要不可欠らしい<計算>までこなしてしまうスーパー犬です。
 
 ちなみに「ジャック」とはいうまでもなく世紀末ロンドンを騒がせた切り裂き魔と同一人物ですが、ここでは単なる殺人鬼とはちょっと異なる独特のキャラ設定がなされているのも興味深いところ。しかもゲームに絡むのは彼だけではありません。各種魔術使い、マッドな司祭、それに吸血鬼、狼男、某人造人間の三大モンスタートリオ…さらにはあの名探偵までが続々と登場し、まさしくホラー・サスペンス界夢のオールスター競演といったおもむきを呈します。

 ただし、この錚々たる面子が派手に火花を散らすバトルものかと思いきや、実質的な主役はスナッフをはじめとする使い魔の動物たちだったのには(主に良いほうに)期待を裏切られました。
 人間たちとは別に独自のネットワークを持ち、お互い牽制しながらも時には協力して情報収集に励む彼らの妙にほのぼのしたやり取りが楽しく、また大勢が入り乱れてあれこれ情報が錯綜するのがかえって全容が分からないゲームの緊張感を高めてもいます。個人的には主人の深酒のせいで酷い目にあうヘビと、フルーツが好物のコウモリのキャラが気に入り(笑)
 
 なお序盤のうちは誰がどのプレイヤーの使い魔かが頭に入っていないとやや混乱をきたすので、せっかくですから自分用に作ったメモ書きの一覧表を貼っておきます。左が使い魔、右がその主人にあたる「プレイヤー」。

 スナッフ(犬)→ジャック
 グレイモーク(猫)→クレイジー・ジル(魔女)
 ナイトウィンド(フクロウ)→モリス&マッカブ(魔術師コンビ)
 ニードル(コウモリ)→「伯爵」
 チーター(リス)→オーウェン(老ドルイド)
 クイックライム(ヘビ)→ラストフ(ロシア人の僧侶)
 ブーボー(ネズミ)→「博士」(某「実験体」の生みの親)
 テケラ→(白子のワタリガラス)→???

 こちらも人間側にひけを取らず個性的な顔ぶれ揃いだし、犬による語り口の味わいも含め、ホラーファンだけでなく動物好きにもお薦めしたい一冊。ところでスナッフって犬種は何なんだろう(上の表紙絵だとダルメシアン?イラストはおそらく担当された広江礼威氏のオリジナルと思われますが)


 ついでに披露のタイミングを逃した今年のハロウィンクッキー しかしこう見ると去年のと変わり映えしませんね。

halloween2017.jpg

知人に猫がタヌキみたいだと言われたんですが...そういえばこの間生まれて初めて近所の庭を走っていくタヌキ見ました。びっくり。

テーマ:海外小説・翻訳本
ジャンル:小説・文学

タグ:ゼラズニイ

2017.09.25 07:15|怪奇幻想文学いろいろ
 こちらにもよくコメントを下さるTRPG仲間のマッドハッターさんのブログにて、「南極で百年前のケーキ(スコット探検隊の糧食だったもの)発見」というニュースについての記事から、冒険中の携行食つながりでトールキンの「指輪物語」に出てくるエルフの行糧"レンバス"のイメージは?という話になりました。

 ご紹介いただいた中つ国Wikiのページでレンバスの説明を読んでいたら、なんと最後には現実に「エルフの焼き菓子」が買えるパン店へのリンクが! それだけでなくお店の名前自体も、「指輪物語」の某登場人物(?)にちなんだものと中つ国世界への思い入れが窺えます。エルフではなくエント製のお菓子になってしまいますが

 本店はうちからは乗り換えが面倒で少し遠いのですが、調べてみると焼き菓子だけなら仕事帰りにすぐ立ち寄れるオーガニックショップでも購入できるとわかったので先日買いに行ってきました(ちなみにネットの通信販売もあるそうです)。目当ての品と、他にもう一種類の焼き菓子を無事入手↓

kinohigea.jpg

kinohige.jpg

 下の写真右側の丸いほうが「エルフの焼き菓子」、あまり大きくはなく直径四センチ程度です。一見素朴なクッキーという感じで小さく切ったレーズンが練り込まれていますが、ノンシュガーなので甘いものが苦手な人もその点は心配不要。粉にはこだわっているというだけあり、小麦の香ばしさがじわじわ後を引く印象の美味しさでした。
 あと驚いたのはサイズに比して密度があるというのか、下のお皿に載っている二種類分だけで(私には)一食に十分なほどのボリュームなんですが、そこがまた旅の携帯食糧らしさたっぷり。ただし私が思い浮かべていたレンバスは、他のエルフ製品と同じく、中にパワーを蓄えているのが意外なほど薄くて軽やかな質感というものだったので、その点に関してはちょっと想像通りとはいきませんでしたが(笑)

 一緒に買った棒状の「ツーロング」も基本の食感はほぼ同じながら、じっくり味わっていると微妙に異なった風味があり、とりわけ材料に使われたハチミツの甘い香りがほんのり残っているのがハチミツ好きの私にはポイント高いです。というか、個人的にこちらの方が同じく中つ国の旅行食として有名らしい「熊人(ビヨルン)族の蜂蜜入り菓子」にぴったりのイメージでした。

 それで思い出したんですけど、一昨年パリに旅行したときお土産にいろんな種類のハチミツを買いこみまして、これで何かお菓子を焼こうとレシピを調べていたところ(さすがに全部そのまま舐めるわけにもいかないし)、「『ホビットの冒険』ビヨルンのハニーケーキ」なる料理動画を見つけたことがあります。
 (最近は作り方を一通り見せてくれるレシピ動画がYoutube等に沢山上がってますから、なじみのない外国の料理、特にお菓子を作る時にはよくそちらを参考にしてるのです。このLet's Eat Fiction! というのは有名な小説や映画に出てくる、もしくはイメージした料理を再現してみようという企画のよう)



 しかしこのレシピ、香り付けにコーヒーを計量カップ一杯入れるというのが、中つ国のあの文化圏であることを考えるとかなりの違和感で結局試す気になりませんでした。 まあそれを言いだしたら他にもいろいろな材料が使えなくなっちゃいますけどね。
 
 そういえばホビット庄には日常的にお茶を飲む習慣があったはずですが、あれも紅茶ではなく近場で手に入る植物から作ったハーブティーみたいなものなんでしょうか。なぜか指輪物語全編を通していちばん頭に焼きついているのが、旅に出るフロドが屋敷を引き払うにあたって、後に移ってくる親戚の強欲ばあさんロベリアが鍵を受け取りに来たときお茶の一杯も出してやらなかったという箇所だったりします(謎)

 さいごに今になってようやく気がつきましたが、上の関連動画で「レンバスを作ろう」というのが出てきました。これって映画版のビジュアルの再現でしたっけ? 恥ずかしながら映画でレンバスが出てくるシーンをぜんぜん思い出せません。ホビットに至ってはまだほとんどまともに見てないですし。
 でも木の葉の包装がしてあると不思議とエルフ風に見えますね。ついちまきや柏餅が浮かんでしまうのはともかく...。



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ジャンル:小説・文学

2017.06.16 01:55|怪奇幻想文学いろいろ
 五月末に刊行されたジャック・ヴァンス・トレジャリー第三弾、「スペース・オペラ」を先日読了しました。同一主人公が活躍する連作スタイルだったトレジャリーの前二冊とは異なり、今回は全体の半分くらいを占める表題作に独立した短編「新しい元首」「悪魔のいる惑星」「海への贈り物」「エルンの海」が加わるという構成。
 先に短編四作について触れておきますと、どれも一癖ある個性派揃いで(先に創元社の「黒い破壊者」で読んでいた「海への贈り物」だけはマジメにすぎて、私好みのヴァンスとはちょっと違う気もしますが)、添え物扱いにとどまらない存在感です。

 で、メインの一作「スペース・オペラ」。宇宙を飛び回るヒーロー達がドンパチやる活劇…ではなく、文字通りオペラそのもの、スペースシップで星間ツアーに乗り出す歌劇団のお話です。
 
 遥か彼方の星から訪れたというふれこみの「第九歌劇団」の公演は地球各地でセンセーションを巻き起こしますが、ヒューマノイド型異星人からなる団員たちはある夜の舞台のあと忽然と失踪。面食らったパトロンのデイム・イサベルは、一座を地球に連れてきた団長のゴンダーから彼らの故郷の惑星「ルラール」について聞きだすうち、ゴンダーの「現地の人々に『相互の文化交流プログラム』を提案してきた」という言葉に飛びつきます。すなわちお返しとして地球側でも歌劇団を組織し、ルラールを最終目的地に惑星をめぐる引っ越し公演ツアーを行おうというのです。そうすれば団員失踪事件の真相も判明するのではないかと。

 歌手、オケ、舞台スタッフや船の乗務員などあらゆる方面での人員を集め、計画はあっという間に実行に。しかし音楽的感性どころか、生物としての意識や観念からして根本的に違った異星人たちを相手にしてのオペラ上演はたやすくいかず、行く先々で騒ぎが持ち上がり…という珍道中がストーリーの主軸。
 もちろん危機一髪での脱出、謎多きヒロインを巡っての恋のさや当てなど、本来のSF用語でいうところの「スペース・オペラ」要素にも事欠かず、各々のイベントをもう少しじっくり描き込んでほしかった気はするものの、スピーディで軽妙なエンターテインメントに仕上がっています。

 個人的にヴァンスを読む最大の楽しみはそこに登場する異文化の疑似体験というのか、自分の世界とは似ても似つかない星の風景や暮らしぶりをかいま見た気分になって非日常感を味わうことにあるんですが、ここに出てくる各惑星の風変わりさも相当なもの。
 そんな環境のもとオペラを演じる一座の四苦八苦ぶりには、全くの異質な文化との交流とはどうあるべきかと考えさせられつつも、そのミスマッチ具合に笑いを誘われずにはいられません。なかでも最初の公演地(星)シリウスで、登場人物たちが現地人と同じ姿形なら共感を得られやすいのではというデイム・イサベルの提案に従い、歌手たちがいやいやながらシリウス星人の着ぐるみでベートーヴェンの「フィデリオ」を演じるくだりとそのオチには爆笑です。

 ただそんな未知の異文化とのぶつかり合いを語る宇宙旅行SFとしては文句なしに楽しめたいっぽうで、残念に感じたのは主題に据えられているオペラそのものの描写が薄いこと(一応ヴァンスを読みはじめる前から劇場に通っていたオペラ好きでもあるので)。
 異星人による「第九歌劇団」の舞台が詳細に語られるのとは対照的に、地球側のオペラに対してはごく限られた言及のみで、上演中の様子、特に各場面の装置や演出といった視覚面について (前述の「フィデリオ」のようなイレギュラーな場合を除いては、)ほとんど具体的な説明がないのはなんとも物足りません。
 登場する演目自体は「フィデリオ」の他にも、「魔笛」「セヴィリアの理髪師」「売られた花嫁」「ヴォツェック」「トリスタンとイゾルデ」「トゥーランドット」「ペレアスとメリザンド」等々と実にバラエティ豊かなのに。そもそも異星人の視点からしたら人間のオペラがどう上演されようと大差ないのでそんな記述は省いて正解なのかもしれませんが、結局のところ読者は地球人なわけですので
 
 しかしあれこれ考えてみるに、この物足りなさはヴァンス(直接的にはこの作品の登場人物たち、というべきですが)のオペラ観と、私自身のそれとの相違によるところが大きいのかもしれません。
 ここで示される「オペラ」は様式がほぼ過去に固定された感のある、一種の伝統芸能的芸術といった印象なのに対し、私が考えるオペラの本質とはもっと時代に対応して柔軟、流動的…といえば聞こえはいいですが、要は最近の流行に毒されてしまった新し物好きのオペラファンなだけですけどね。演出家が従来のストーリーをどう新(珍?)解釈するのかとか、あげくは変な演出見たさというのが鑑賞の主なモチベーションだったりしますから。
 もちろん、この作品が書かれた1960年代のアメリカでは数十年もたたないうちに奇抜な演出がオペラ界に溢れかえることなんて想像もできなかったと思われますし、世代間のギャップといえばそれまででしょうが。

 さすがのヴァンスもシリウス星の騒動を地でいきかねないこんな舞台が出現するのは想定外だったかと…(リンク先画像は「猿の惑星」にインスパイアされたという演出の「リゴレット」)。
http://www.thomasgeist.de/pages/Portfolio/Theater/Rigoletto/slides/Rigoletto10.jpg

 ※以下、微妙に核心部分のネタバレを含みますので未読の方はご注意ください↓



 
 あと一つ、大発見!と思ったら普通に英語版ウィキペディアに書いてあったのであちらのヴァンスファンのあいだではとっくに通説なのかもしれませんけど、ヒロインのマドック・ロズウィンの出自とヴァンスの未訳ファンタジー、「リオネス」Lyonesse三部作って関係あるんですかね。
 一説ではトリスタンの故郷(ワーグナーのオペラでは違いますが)といわれたりもするリオネスはかつてコーンウォール沖に存在したとされる伝説の国ですが、この話のマドック(Madoc)は「大昔ビスケー湾に沈んだ土地に栄えた種族の末裔」と名乗っており、またヴァンスのLyonesseにも一字違いのMadoucなる女性キャラクターが登場するようです(第三部のタイトルがMadoucというくらいなのでかなりの重要人物でしょう)。繋がった世界観というか、はるか未来の話? トレジャリーの続きがあるとしたらこのリオネス三部作にも期待していいんでしょうか。

 私的ベストのシーンに挙げたいのも、宇宙に去ったロズウィン一族ゆかりの惑星に降り立った一座がドビュッシーの「ペレアスとメリザンド」を野外上演する場面。この場合に限ってはミスマッチどころかなんとも絶妙なチョイスの演目で、オペラそのものとストーリーとの共鳴を密に感じさせるほぼ唯一の箇所でもあるからです。
 

テーマ:海外小説・翻訳本
ジャンル:小説・文学

2017.05.09 08:21|怪奇幻想文学いろいろ
 間が空きすぎましたが、前回(←記事リンク)紹介しきれなかったアーカム・ハウス叢書、マンリー・ウェイド・ウェルマンの「悪魔なんかこわくない」の内容について。(図書館の本なので一旦返してまた借り直してきました)    

916I-MRTD.jpg ←謎なシチュエーションの例のカバー絵。真ん中が主人公シルバー・ジョンさん

 アパラチア山脈一帯を舞台に、魔除けの力を持つ音を奏でる銀の弦のギターと旅する放浪の歌い手「シルバー・ジョン」が行く先々で遭遇した怪奇を語ってきかせる物語集。
 この「山」と「歌」というテーマは全編をつらぬく主題となっており、ある意味背景にとどまらない影の主役的な存在といえるのかもしれません。そうした特色からしても「アメリカ版遠野物語」とでも呼びたくなるような、ひじょうに土俗性の強い作風に仕上がっています。

 ほぼ執筆と同じ1960年頃(作中で正確な年代は明言されませんが、朝鮮戦争からの帰還兵という登場人物がいるのでおそらく50年代後半以降と思われます)という比較的新しい時代設定にもかかわらず、舞台となる山間には時代の移り変わりがほとんど存在しないかのよう。この辺りがまた「遠野物語」っぽさを感じる所以でもあるのですが、古い伝承がいまだ日常に息づき、異形の者たちが人間社会のすぐ側に潜んでいる一種の異界です。
 
 そうした土地の「民話」に相当するのが、かつての出来事や言い伝えをもとに作られ歌い継がれてきた歌、いわゆるカントリー・ソングで、各地でそれらの歌を収集するのが主人公ジョンの旅の最大の目的でもあります。歌というのはここでは単なる娯楽ではなく、物語を語り伝える媒体であり、さらには良きにつけ悪しきにつけ言霊的な力を持つ呪文ともなる、大きな役割を担うものとして扱われているのです。
※もっとも、この主人公いきなり第一話から敵をギターで物理攻撃(ぶっ叩く)するキャラでもあるのでその辺は大目に見てください
 
 生憎このジャンルの音楽について詳しくない私にも、いつの間にか山あいに響くメロディーが聞こえる気がしてくるような曲と風景の語り口はどの話でも見事のひと言。アメリカ、特にアパラチア地方一帯のカントリー音楽に親しんでいる人だったらより一層楽しめるのは間違いないと思います。
 
 「カントリー・ミュージックがバックの怪奇譚」というといまいち恐怖感を煽りませんが、四方を取りまく深山の時にはおどろおどろしくさえある存在感のおかげで、これが本気で怖がらせにくるところになると実に不気味なんです。
 なかでも怪談として秀逸に感じたのは、オーナーが殺され廃線になって久しい山間の鉄道をめぐる因縁話「黒い小さな汽車」、廃坑に眠る「いにしえびと」(ちょっとR.E.ハワードの蛇人間的な存在)の財宝探しに巻き込まれる顛末「松林のなかのおののき」、暗い情念が絡みあう過去の事件が豪雨の山小屋で清算される「沈黙の食事」など。特に「小さな黒い汽車」は、クライマックスへ向かい突き進んでゆく中での歌の使われ方が抜群に効果的でした(あとバーベキューのシーンが美味しそう)。

 ホラー路線からは外れますが、もう一つ気に入りの話は「山のごとく歩む」。ジョンが訪ねていくのは高い峰を切り開いた村、そこからさらに滝の絶壁をよじ登った上には巨人のような大男のすみか…というそれだけでもスリル感溢れるセッティングと、収録作のうちでも群を抜いて爽やかなラストとの組み合わせが気持ちいい一話です。
  そういえばここに出てくる巨人男は、アメリカの伝統的ほら話(トール・テール)に出てくる巨人木こり"ポール・バニヤン"をモチーフにしていると思しきキャラなのですが、そんなほら話の流れを汲む毒のないユーモアが端々に感じられるのも魅力の一つ。とりわけ各話の前に据えられている、独立した内容の1ページ強ほどの小咄("スケッチ")がそれをよく体現しており、本編に劣らぬ面白さがあります。

 どの話も明快な筋運びで後味も悪くないし、カバー絵が与える印象と違い(笑)、怪奇小説としてはかなり読みやすく万人に薦められるタイプに属するのではと思います。とはいえ、現状では入手の面でとても手に取りやすいとはいえませんから、ぜひどこかで復刊していただけないものでしょうか(あ、表紙デザインはオリジナルのままで) その際には後から書かれたためアーカム・ハウスの初版に含まれなかったぶんの短編も追加でお願いします。
 
(↑というのも「シルバー・ジョン」シリーズはこの一冊で終わりではなく、さらに短編と"スケッチ"がいくつか、それに長編小説が五冊も出ているとのこと。未収録短編の一つ「昼、梟の鳴くところ」はハヤカワのアンソロジー、「闇の展覧会―霧」に収録されており、実は私もこちらをアーカムハウス叢書より先に読んでたのですが、同じシリーズと思えないくらい訳調が違うのが難。)

 それにこの記事を書こうと調べていて初めて知ったんですけど、ウェルマンの創りだしたもう一人のジョン、「ジョン・サンストーン」のシリーズをナイトランド叢書で出す予定があるとか。もちろんそっちも楽しみですが、国書刊行会版ウィアード・テールズに入っている「サンストーン」の一編を読んだ限りでは、この二つのシリーズかなり相似点が多い気がするので、ちょっと前の私みたいに両者がごっちゃになる人が出るんじゃないかと余計な心配をしたくなります。やっぱり混同を避けるためにもここは両方読めるようにしましょうよ~。

テーマ:海外小説・翻訳本
ジャンル:小説・文学

2017.03.18 23:27|怪奇幻想文学いろいろ
 ちょうど三十年前、国書刊行会からその名もアーカム・ハウス叢書という全七冊のシリーズが刊行されました。そもそもアーカム・ハウスというのは怪奇幻想文学に特化したアメリカの出版社の名前なわけですが、そこから出た作家別の作品集を収録作のチョイスや装丁等も含め、なるべく忠実に日本語化するという企画だったようです。
 
 日本版のラインナップは本家アーカム・ハウスの設立者の一人であるオーガスト・ダーレスに、ウィリアム・ホープ・ホジスン、クラーク・アシュトン・スミス、ブライアン・ラムレイ、カール・ジャコビ、デイヴィッド・ケラー、それに今回ご紹介するマンリー・ウェイド・ウェルマンという顔ぶれ。私がホジスンやスミスにはじめて出会ったのも大学や近所の図書館で借りたこの叢書シリーズででした。発売当時リアルタイムで買い揃えられていたら良かったんですけど、なにせ字が読めたかも怪しい頃でしたからね。

 他の六冊はそうやってだいぶ前に読み終えたのに、最後まで取ってあった…というか唯一手が伸びずにいたのがウェルマンの「悪魔なんかこわくない」でしたが、先日せっかくだから全巻制覇してしまおうと思い立ち、半ば義務的に借り出してきたらこれが予想外の面白さで、どうして今まで食わず嫌いしてたんだろうと後悔したぐらい。
 白状するとこれまで敬遠していたのは、だいぶ前ネットでこの本の表紙絵を目にしてその強烈さにちょっとばかり引いたせいだったような覚えがあります(汗) その頃はまだ怪奇幻想文学を読み漁るようになって日が浅く、こういう雰囲気のカバーデザインだと図書館のカウンターに持っていくのに変に気が引けていたりしたのでした(最近ではもはや開き直ってなんとも思わなくなりましたけど。)

 それに初めにも書いたとおり、このアーカム・ハウス叢書は七巻とも本家から発売された時のカバーに使われていたイラストをそのまま再現しているのです。ずっと気がつかないままで、今回の件でようやく知った事実でしたが、これより少し早く同じ国書刊行会が出したウィアード・テールズ全五巻といい、こういうこだわり様には頭が下がります。

↓左がアメリカ、右が日本版。赤のトーンが違うのは写り方の問題として、並べてみると日本語のフォントまでオリジナルに似た雰囲気を出そうとしているのがわかります。(画像は英版ウィキペディアとAmazonからお借りしました)

md9014470090.jpg   916I-MRTDjL_convert.jpg

 ただ他六冊のカバーはこれほど異彩を放つデザインではなく、比較的大人しめな印象なので何度も読んだものでもほとんど意識しないままでいたような。 控えめな表紙が物足りないというわけじゃありませんが。
 なおこの表紙絵を手がけたリー・ブラウン・コイ(Lee Brown Coye)について調べてみたところ、パルプ・マガジン全盛期のアメリカで活躍し、ラヴクラフトを初めとするクトゥルフ系ホラー物なども相当数描いているイラストレーターでした。さすがに全編このタッチの劇画化とかだったらどうかと思いますが、眺めているとだんだん味とユーモアが伝わってくるイラストでいつのまにかすっかり気に入ってしまいました。真ん中にいるのが主人公兼語り手の"シルバー・ジョン"(連作短編集なのです)なのはいいとして、その前の女の人とクリーチャー(?)が果たして作中に出てくるキャラなのかもいまだによく分からないんですけど(笑)

 この「悪魔なんかこわくない」はじめ、アーカム・ハウス叢書はどれも個人的には外れなしだったので(タイタス・クロウサーガあたりは微妙なラムレイも、ここの「黒の召喚者」はなかなか面白かった)いちばん復刊をお願いしたいシリーズのうちの一つです。ホジスンやC・A・スミスもこの中ではまあまあ邦訳に恵まれている作家かもしれませんが、「帰り舟シャムラーケン号」や「ヴルトゥーム」のような他では日本語版の読めない傑作も多く収録されていることですし。

 ちょっと前置きが長くなり過ぎたので、「悪魔なんかこわくない」のストーリーについてはまた次回の投稿こちらで書かせて頂きます。

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