2010.11.25 03:51|音楽鑑賞(主にオペラ)|
いろいろと見聞きするものの感想を保存しておこうと思って始めたこのブログ、最初の記事はNHKで現在放送中のメトのオペラシリーズについて書くことにしました。最近はネットラジオやYouTubeで新しい録音・映像が次から次へと鑑賞できるので、何か書き留めておかないとあっという間に印象が薄れていってしまうのですが、そういえばテレビの前でオペラを全曲通して見たのは久しぶりだったような気がします。
先日やっとテレビを地デジに替え、うちでも衛星放送が入るようになりました。Metライブビューイングシリーズは昨シーズンは劇場に行ってまで見たいと思える演目がなく全部未鑑賞だったので、NHKが放送してくれるのは助かります。
最初の演目はシーズン・オープニングのリュック・ボンディによる新演出「トスカ」。それまでの豪華なゼッフィレッリ演出に取って代わったため、現地では大不評だったという舞台装置は、個人的には第一幕の教会は地味だけれどまあまあ、二幕のファルネーゼ宮殿はいくらなんでも安っぽ過ぎですが、三幕のサンタンジェロ城は逆くの字型の舞台と塔の配置が不安感を煽るようで、なかなか効果的という印象でした。もっともセット以上に、やたらと粗野でヒステリックな面が強調されたトスカ(そういう傾向があるキャラなのは確かでしょうが・・)と、品がない小悪党にされてしまったスカルピアとの人物造形に閉口してしまい、最期にスカルピアの手下たちにすごんで見せるトスカにはシリアスな場面なのを忘れてあやうく吹きだすところでした。それぞれの役を演じたカリタ・マッティラとジョージ・ギャグニッザ(グルジア出身だそうですが、それなら「ゲオルグ」という読みのほうが普通なのでは?)も、揃って声量と迫力はありますが、荒い歌であまり役に合っているとは思えなかったです。マッティラはこのプロダクションを最後にもうトスカは歌わないことにしたというのを聞きましたが、正しい判断でしょう。カヴァラドッシのマルセロ・アルヴァレスは、演技が型通りすぎるのは興醒めですが張りのあるすばらしい声で音楽的には一番堪能させてくれました。堂守役のプリシュカ、アンジェロッティのピッツジンガーなど脇役陣はみんななかなか個性的で良かったです。意外な発見は先日見てきた「ボリス」でフョードルを好演していたボーイソプラノの子が羊飼い役だったこと。ここでは陰で歌うだけで、カーテンコールにも出てこなかったので、エンドクレジットを見てやっと分かったのですが。
指揮は当然レヴァインだと思い込んでいましたが、ジョセフ・コラネリという全く知らない人で驚きました。確か初日はレヴァインが振ったはずだけれど、収録のあった日は体調不良で出てこられなかったんでしょうか。コラネリの指揮はアリアの歌わせ方などは悪くないと感じたものの、全体的には演出のせいもあって何とも情緒に欠けるプッチーニという印象しか残らず残念でした。
マッティラのトスカには馴染めなかったので、口直しに以前に買った彼女のシベリウスとグリーグのアルバムを聴きなおしてみましたが、やはりこちらのほうが断然いいです。そもそも、私がこれまでマッティラの声を聞いたのはほとんど北欧の作曲家の作品ばかりなので、違和感を感じてしまったのも当然かもしれません。
先日やっとテレビを地デジに替え、うちでも衛星放送が入るようになりました。Metライブビューイングシリーズは昨シーズンは劇場に行ってまで見たいと思える演目がなく全部未鑑賞だったので、NHKが放送してくれるのは助かります。
最初の演目はシーズン・オープニングのリュック・ボンディによる新演出「トスカ」。それまでの豪華なゼッフィレッリ演出に取って代わったため、現地では大不評だったという舞台装置は、個人的には第一幕の教会は地味だけれどまあまあ、二幕のファルネーゼ宮殿はいくらなんでも安っぽ過ぎですが、三幕のサンタンジェロ城は逆くの字型の舞台と塔の配置が不安感を煽るようで、なかなか効果的という印象でした。もっともセット以上に、やたらと粗野でヒステリックな面が強調されたトスカ(そういう傾向があるキャラなのは確かでしょうが・・)と、品がない小悪党にされてしまったスカルピアとの人物造形に閉口してしまい、最期にスカルピアの手下たちにすごんで見せるトスカにはシリアスな場面なのを忘れてあやうく吹きだすところでした。それぞれの役を演じたカリタ・マッティラとジョージ・ギャグニッザ(グルジア出身だそうですが、それなら「ゲオルグ」という読みのほうが普通なのでは?)も、揃って声量と迫力はありますが、荒い歌であまり役に合っているとは思えなかったです。マッティラはこのプロダクションを最後にもうトスカは歌わないことにしたというのを聞きましたが、正しい判断でしょう。カヴァラドッシのマルセロ・アルヴァレスは、演技が型通りすぎるのは興醒めですが張りのあるすばらしい声で音楽的には一番堪能させてくれました。堂守役のプリシュカ、アンジェロッティのピッツジンガーなど脇役陣はみんななかなか個性的で良かったです。意外な発見は先日見てきた「ボリス」でフョードルを好演していたボーイソプラノの子が羊飼い役だったこと。ここでは陰で歌うだけで、カーテンコールにも出てこなかったので、エンドクレジットを見てやっと分かったのですが。
指揮は当然レヴァインだと思い込んでいましたが、ジョセフ・コラネリという全く知らない人で驚きました。確か初日はレヴァインが振ったはずだけれど、収録のあった日は体調不良で出てこられなかったんでしょうか。コラネリの指揮はアリアの歌わせ方などは悪くないと感じたものの、全体的には演出のせいもあって何とも情緒に欠けるプッチーニという印象しか残らず残念でした。
マッティラのトスカには馴染めなかったので、口直しに以前に買った彼女のシベリウスとグリーグのアルバムを聴きなおしてみましたが、やはりこちらのほうが断然いいです。そもそも、私がこれまでマッティラの声を聞いたのはほとんど北欧の作曲家の作品ばかりなので、違和感を感じてしまったのも当然かもしれません。