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2011.02.28 16:01|レシピ
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 久しぶりに焼き菓子系が食べたくなったのでパイ作りに挑戦してみました。海外の小説を読んでいるとよく「ルバーブとイチゴのパイ」というのが出てくるので、自家製イチゴジャムと合わせてそれっぽいものを作ってみようかと思ったんですが、普段より一回り大きな型を使ったため、それではフィリングが足りなくなることが判明。父親の朝食用に買い置きしてあったバナナを二本嵩増しに入れてみることにしました。

材料(22cmのタルト型一つ分)
生地:バター120グラム・薄力粉160グラム・砂糖大さじ3杯・塩ひとつまみ・冷水少々/フィリング:ルバーブ3~4本・バナナ2本・砂糖120グラム・レモン汁1/4個分・あればブランデーなどの洋酒少々・卵一個(仕上げ用)

作り方

1: ルバーブは1・5センチくらいに切り、砂糖とレモン汁をかけて少しおく。バターはさいの目に切ってふるった粉とあわせ、塩・砂糖も入れてバターを切るように混ぜ、全体がそぼろ上になってなじんだら冷水を足して一つにまとめる。軽く打ち粉をしてのばし、一度折りたたんでから6:4くらいの割合で二つに切り分ける。

2: 少し寝かしてから大きいほうの生地をのばし、タルト型に敷いてフォークで穴を開ける。上にアルミホイルを敷いておもし(製菓材料の店で専用のを売ってますが、家にはそんなものないのでいつもフォークを交差させて置いてます)を乗せ、180~90度に熱したオーブンで20分くらい焼く。底が生焼けだと具から出た水分のせいでべちゃっとしておいしくないので、むらなく焼き色が付くまで火を通します。

3・ 砂糖漬け状態のルバーブを鍋かフライパンに入れ、全体に火が通るまで弱火で加熱します。けっこう水分が出るので、おたまに一杯半ほど別の小鍋に取り分けておきます(後で使うので)。バナナも薄切りにし、洋酒があれば振りかけてフライパンで軽くソテーします。

4: ルバーブとバナナが冷めたら合わせて焼いたタルト生地に入れ、分けておいた小さいほうの生地をのばして上にかぶせ、縁をくっつけて余った分は切り取ります。上の皮に格子状に切れ目を入れ、溶き卵を塗ってまた15分ほどオーブンで焼きます。

5: 焼きあがったら、取り分けたルバーブの煮汁をとろとろになるまで煮詰めたものを上に塗ります(よくつやだしに、アプリコットジャムなどを薄くのばしたものを塗りますがその代わりです)。できあがり。

切り分けたところです。見た目は相変わらず微妙ですが・・・

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バナナが合うかどうか不安だったのですが、ルバーブの癖や酸っぱさを中和してくれ、他の果物ほど水気も出ないので作りやすい事もあって思いがけないヒットでした。家族には前にリンゴやイチゴと合わせて作ったものより好評だったようです。


2011.02.26 05:07|未分類
 今NHKでやっている海外ドラマの「大聖堂」、十二世紀イングランドの無政府時代の話なんですね。この作品は原作を含めほとんど知らないのですが、去年から読み出した歴史ミステリーの「修道士カドフェル」シリーズと同じ時代設定という事でちょっと興味があるのです。(といってもまだ番宣と一話のさわりしか見ておらず、後は撮りだめですが。)

エリス・ピーターズの「カドフェル」シリーズは作者の死によって中断するまでの全二十巻(+番外編の短編集一冊)という相当なボリュームで基本一話完結ですが、一部の設定やキャラクターなどは後の作品にも引き継がれて、王位をめぐる内戦が激化する十年ほどの経過をたどる形となっています。ウェールズとの国境に近いシュロップシャーのシュルーズベリー修道院を舞台に、十字軍帰りの僧侶カドフェルがアラビアで得た医学や薬学の知識を生かしつつ、様々な難事件を解決していきます。共に修道士が主人公ということで、ついエーコの「薔薇の名前」と比べたくなってしまうのですが、その一種ペダンティックな面白さとは対極にある、じつに地に足が着いたというのか、時代をあまり感じさせない人間くささのある作風です。とはいえ、時代背景の描写は実に細かく、登場人物も内乱の当事者であるスティーヴンとモードから最下層の庶民まで多彩ですし、土地柄イングランドとウェールズ双方の異なる文化が衝突しつつも共存している様子も巧みに織り込まれています。特に日課や農作業、写本の制作、さらには慈善事業や土地の経営(貸家や荘園も持っていたり)にいたる当時の修道院の内部や日常生活がうかがえるのは興味深いです。やはり世間からは隔絶した場所というイメージがあるけれど、実情は修道院全部が必ずしもそうだったわけでもないんでしょうね。

 「薔薇の名前」つながりですが、実際にバラの品種に名前を提供しているのはバスカヴィルのウィリアムではなく、カドフェルの方なのです。何でも舞台がイングリッシュ・ローズ開発社の地元に近いからとかだとか(バラの方は日本語の表記だと「ブラザー・カドフィール」)。写真を見たら、ずんぐりした還暦越えのお坊さんという作中描写とはギャップがありすぎる、絢爛豪華なピンクの花でしたが。実は私が「カドフェル」シリーズの存在を知ったのも、去年店頭に並んでいた苗の由来を検索してみたのがきっかけでした。そのときは迷ったあげく別のバラ苗を買ってしまったので、今年こそはぜひと思っていたのに、行きつけのホームセンターではイングリッシュローズの種類がだいぶ入れ替わっていてぜんぜん見つかりません。京成バラ園の安売りを狙ってみようかな・・
2011.02.17 16:25|音楽鑑賞(主にオペラ)
 今回のマリインスキー来日はオペラの舞台上演が二つだけ、それもロシア物ゼロというのは私にとってはいささか不満でした(何しろ国内でマイナーなロシアオペラを生で見られるほぼ唯一の機会なので)。そうは言いながらも、三幕だけの演奏会形式とはいえ「パルジファル」には嬉々として出かけていくわけですが。

 前座に「ローエングリン」一幕と三幕の前奏曲と「タンホイザー」の序曲、休憩をはさんでから「パルジファル」というプログラムです。今回もマリインスキーの公演にはつきもののキャスト変更で、アンフォルタス役が直前まで予定されていたヴァネーエフから「影のない女」のバラク役、エデム・ウメーロフになっていました。この人は少し前にネトラジで放送された「ボリス・ゴドゥノフ」で題名役を歌った録音を聴いていたせいで名前と声だけ覚えていたんですが、これも何かの縁かもしれません。

 ローエングリンの一幕前奏曲は一本ぴんと筋の通ったような流れがあって美しかったし、タンホイザー序曲はヴェーヌスベルクの音楽が誘惑的というにはやや荒っぽく感じたものの迫力十分の演奏でした。ただ、これは隅のほうに座ってしまったせいもあるのか、パルジファルの演奏も含めて音の伸びがあまりなく、録音で聴くのとは違ってときおり弦と管のアンバランスが目立っていた印象です。けちらないでもっと上のランクの席を買っておけば良かったかも。

 パルジファル、そういう訳で音楽にこちらの気分が乗るまでにいくらか時間がかかってしまったのですが、やはり話が展開してゆくごとにぐいぐいと引き込まれます。グルネマンツを歌うパーペの語り口は知的で切れ味鋭く説得力抜群で、ぜひ実際に舞台で演じているのを見てみたいです。(来々シーズンメトでやるそうなので、HDにかけてくれれば・・ちなみに共演予定はカウフマンとペーター・マッティだとか。)近年声にボリュームがなくなってきた気もするけれど、巨人からより繊細な等身大の人間になったという感じで、むしろこの役には合ってきたかもしれません。パルジファル役のセルゲイ・セミシュクールは昨日のトロイ人と掛け持ちしたのが原因か、パワー不足気味なのが目立ってしまっていました。それにドイツ語のイントネーションも素人耳にもいまいちで、聖杯王になるにはなんとも頼りない感じです。それでもところどころ綺麗な声を聞かせてくれたので、まだこれからの人なんだろうとは思いますが。ウメーロフも声はよく通るけれど、やはりドイツ語がちょっと。合唱はとても良く、特にラストシーンではそれまでの聖杯騎士たちの圧迫感からがらりと変わって、神秘的な異空間を創るかのような雰囲気がありました。

 ゲルギエフはオケをコントロールしてきっちり全体の流れを構成していたと思いますが、なぜか個人的には癒しをもたらすというより、音楽に含まれる苦痛や悩みの部分がより際立たせられて耳に残ってしまいました。もちろんそういう解釈の演奏が悪いわけではないですし、こちらの聴き方がだんだん変わってきたのが大きいのでしょうが。
 
2011.02.12 02:16|レシピ
 またまたスペイン料理の記事。寒いとオリーブオイルとにんにくがきいたスペインの家庭料理が食べたくなるんです。たまたま輸入食品店でハモンセラーノ(スペイン産生ハム)のブロック状切り落としが激安で手に入ったので、これでだしを取って豆の煮込みスープを作らない手はないと思いました。

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 これがそうです(写真写りが悪い・・)。生で食べたほうがおいしいのは確かなんですが、入れると入れないのとでは味がぜんぜん違います。もっとも高いうえになかなか買えないので、スーパーで安く買えるパック入り生ハムの細切りかブロックベーコン、あるいはそれよりもう少し値が張るけれどパンチェッタで代用してもかまいません。

材料:レンズ豆 軽量カップに軽く一杯 ジャガイモ1~2個 ニンジン(中サイズ)1本 玉ネギ半個 生ハム またはベーコン適量 オリーブオイル 大さじ2杯 ニンニク1~2片 パプリカ(粉末)小さじ1 ローリエ一枚 ←(けっこう適当)

作り方: 豆は一晩水にひたし、上澄みにたまった皮の切れ端やごみを取り除く。玉ネギは薄切り、ジャガイモ、ニンジンはさいの目にする。鍋に漬けた水ごと入れ、他の野菜と生ハム、ローリエを加え、あくを取りながら弱めの中火で一時間強ほど煮る。

好みの加減に煮えてきたら、塩を加えて味を調え(肉から塩気が出るので注意)、弱火にする。ニンニクは半分に割って芽の部分を除き、薄く切る。フライパンでオリーブオイルを熱してニンニクを入れ、薄いキツネ色になったところでパプリカの粉を加える。焦がさない程度に三十秒ほどおいてから豆の鍋に入れ、さらに少し煮て味をなじませ出来上がり。ヒヨコ豆や白いんげん豆でも同じようにできますが、やっぱり火の通りが早いレンズ豆が一番楽です。もっとも今回は皮なしのものを使ったので、思ったより早く花が咲いたような形に煮崩れちゃったんですが。知り合いのスペイン人によると貧血にもいいらしいし。

出来上がりはこちら。鍋から保温のきくカスエラ(スペインの土鍋)に移し、夕飯までストーブの上に乗せておきました。一緒に作ったのはトマトの肉詰めとインゲンの付け合わせです。

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ちなみにポタージュももっと簡単に作れます。玉ネギと豆だけで煮て、つなぎとして残りご飯を茶碗に三分の二ほど加えます。煮汁がごく少量になったら火からおろし、粗熱を取ったものをミキサーにかけて好みの濃さに牛乳でのばし、ざるなどで漉します。味付け(基本塩だけですが、物足りなければコンソメの元を少量入れてもいい)して出来あがり。夏にはこちらのほうがさっぱりしていいかと。
2011.02.09 00:03|怪奇幻想文学いろいろ
 大学の図書館でたまたま手に取った短編集「海ふかく」ではまってからというもの、英国の怪奇幻想作家ウィリアム・ホープ・ホジソン(ホジスン)の大ファンです。
 ですからゼラズニイの「変幻の地のディルヴィシュ」という作品が、ホジスンの代表作「異次元を覗く家」のオマージュとして書かれたものだと知ってさっそく読み始めてみたのはよかったのですが、どうも話の筋立てや背景がつかめません。

 で、調べてみたところ...「変幻の地~」は実は一つながりの物語の結びにあたる部分で、その前日譚は「地獄に堕ちた者ディルヴィシュ」というタイトルの連作短編集として別の一冊に分かれているのでした。これじゃ理解できなくて当然ですので(そもそも買う時点で調べてみないほうが悪いんですが)、あわてて一作目のほうも追加注文しました。
 というのも似た系統のヒロイック・ファンタジーでは序盤に設定や世界観が一通り説明されている場合が多いですが、「ディルヴィシュ」はそんな手間は省いて、話をぐいぐい進めていくことで読者に理解してもらおうという作風のため、「地獄に堕ちた者~」のほうを最初から読んでいないとなおさら置いてきぼりになってしまうのです。

 舞台は魔法使いに妖精、悪魔から神々までが跳梁跋扈する典型的なダークファンタジーの世界。妖精族の血を引く戦士ディルヴィシュは、先祖の代からの因縁を持つ黒魔術師ジェレラクの所業を止めようとして呪いをかけられ、体は彫像と化し魂だけが地獄へ落とされます。
 二百年後、鋼の馬ブラックという道連れを得て地獄からよみがえったディルヴィシュは、復讐のためジェレラクを追い求める旅に出、道中様々な冒険を重ねます(この部分が前篇の「地獄に堕ちた者ディルヴィシュ」)。その末にたどり着いた最終決戦の場となるのがホジソンの小説に登場する「異次元を覗く家」の建物(本書では「超時間城」と呼ばれています)というわけです。あまりネタバレするのはやめておきますが、この「家」の印象はホジソンのオリジナルとはだいぶ異なっているので、最初は正直なところ「これがオマージュ?」と面食らってしまいました。あえて解釈するならあの建造物は「ボーダーランド」すなわちいろいろな次元のはざまに位置するものなので、そのうち一つの位相がこの作品世界であるとか?
 
 が、最後の百ページほどでクライマックスへ向かう展開に合わせ、「異次元を覗く家」を知っていればあっと思うであろう場面を次々と繰り出す手並みはじつに鮮やかで、ここまで待って読み進めた甲斐があったと感じさせてくれます。その上「ホジソン」という名前の登場人物がけっこう活躍するばかりでなく、クトゥルー神話もどきのものまで登場したりと、このジャンルの愛読者には嬉しい小ネタがふんだんに盛り込まれているのも面白さの一つです。

 主人公ディルヴィシュは最初相当なハードボイルドキャラのイメージでしたが、読み進むうちにだいぶ印象が変わってきました。(あとがきによると完結までに相当な年月がかかったそうですが、それも関係しているのかもしれません。)黒丸尚氏の訳調や表紙の天野絵が醸しだす雰囲気のせいもあるのか、影と同時にどこか飄々とした面もあるヒーローで、相棒ブラックとのやりとりもなかなかにユーモラス。
 「超時間城」にたどり着くまでの冒険の過程を描いた「地獄に堕ちた者」のほうも、印象的な舞台設定やキャラクターが次々登場する魅力ある世界観なので、この道中をもっと引き伸ばして何冊分でも読みたいぐらいです。ゼラズニイにはこれまで全く馴染みがなかったのですが、他の作品にも手を出してみたくなってしまいました。

 ところで「魔術師たちが所属・登録しなくてはならないネットワークの名称が、この五、六十年で『兄弟会』から『結社』に変更になった」というくだりにはくすりとさせられました。「魔女たちの会から抗議がきて改名せざるを得なくなった」そうですが、やっぱりどの世界でも似たようなものなんですね。

テーマ:本の紹介
ジャンル:学問・文化・芸術

タグ:ゼラズニイ

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