fc2ブログ
2011.04.27 02:50|音楽鑑賞(主にオペラ)
 土曜日の深夜に放送されたウィーンのさまよえるオランダ人、ソフト化されていない映像だったので楽しみにしていたのに、うっかり最初の四十五分ほど見逃してしまいました。録画予約も忘れて早めに寝てしまい、日付が変わった頃にぼんやり目が覚め、やっと気づいてテレビをつけた頃にはもうゼンタのバラードが始まるところでした。ただ正直、舞台としてはさっぱり面白くなかったです。途中から見た限りではゼンタの最期以外きわだって印象に残る場面もなく、そこにしてもおそまつなドン・ジョヴァンニの地獄落ちの場面みたいであんまりです。(焼身自殺する伏線でも見逃したところにあったんでしょうか?) しかも救済のテーマ無しバージョンでそのまま終わってしまうので、オランダ人の船が最後どうなるのかも分からずじまいですし。でも全員無表情な幽霊船の船員たちのビジュアルはそれなりに不気味だったので、船長の後ろにずらーっと並べるだけでなくもう少し見せ方を工夫したらもっと効果が出せたかもしれないのに残念です。私はこの作品にどうしても海洋ホラーもののノリを期待してしまうので、(絶対悪趣味だと言われるだろうけど)一度くらい本気で観客を怖がらせようとする演出を見てみたいんですがなかなか難しいようです。

 オランダ人役は昔エアチェックした初日の録音ではファルク・シュトルックマンだったのに、フランツ・グルントヘーバーに変わってしまっていたのがちょっと残念でした。(グルントへーバーが嫌いなわけではないですが、この人のオランダ人は他の映像で見たことがあったので。) 猛烈に意志強固そうなシュテンメのゼンタをはじめ歌手は悪くなかったと思いますし、小澤さんの指揮も思ったほど違和感なく聴けました。ただその後にやっていたオールフレンチ・プログラムのほうが耳に残って、ちょっとこちらの印象が薄くなってしまったかもしれません。(ライブビューイングから気になっていたグラハムの歌ったシェエラザード良かったです。)

海洋ホラーといえば今読んでいるホジスンの"The Ghost Pirates"(幽霊海賊)という本がクライマックスに差し掛かっているんですが、これが最近読んだ怪奇幻想物の中では群を抜いて怖いです。遠くから近づいてくるのでなく、船べりから見下ろした水中に漂う幽霊船というのには意表をつかれました。読み終えたら感想をと思ってますが・・・
2011.04.15 01:21|レシピ
週末に一人でスーパーに行った父がしこいわし(本人が言うには安かったからなんとなくカゴに入れたらしい)を買ってきたのを知らなくて、気がついたときにはすでにまる三日近く過ぎてました。普段なら匂いがきつくならないようにすぐ内臓を取って冷凍しておくんですが・・・こういう時はニンニクとパプリカの香りでごまかせるスペイン風調理法の出番です。レシピは以前ここに書いたことのあるスペインの知人から教わりました。その家では揚げるのも全部オリーブオイルだったそうですが、さすがに日本でそれは高くつくのでうちでは普通のサラダ油使用です。


材料 しこいわし(ひこいわし、かたくちいわしとも)適量/薄力粉 適量/ニンニク二・三片/オリーブオイル いわし十匹ほどにつき大さじ二杯程度/粉末パプリカ 上記につき小さじ半分ほど 他に塩・こしょう、揚げ油

作り方 

1 しこいわしは頭を切り落とし、さらに腹側の胴体に切りこみを入れて内臓を出し、中骨をはがして切り取る。さっと水洗いし、血や体表にくっついたうろこを洗い流す。

2 一匹ずつキッチンペーパーに挟んでよく水気をふき取り、開いた状態で皿などに並べておいて塩・こしょうする。両面に小麦粉をまぶし、油できつね色になるまで揚げる。

3 揚げ終わったいわしを皿に盛り付けておく。別のフライパンか小鍋に、芽を取って薄切りにしたニンニクとオリーブオイルを入れて加熱し、ニンニクに薄く色が付いたところでパプリカを加える。火からおろして十秒ほどおき、オイルを皿のいわしに上からかける。出来あがり。

SH3F03240001.jpg

本当は二十数匹はあったんですが、写真を取るのが遅れたので両親に食べられてしまいこれしか残っていません。 まったく苦労してさばいた方の身にもなれと。まあ、しこいわしは小骨も引っかからないし中骨もはがれやすいので、小アジなんかに比べればずっと料理しやすいですが。野菜を入れてマリネ風にしてもいいし、いろいろと応用の利くレシピでもあり便利です。それに父の言う通り、この時期はとにかく安い!(値段を見たら一パック百円ちょっとでした)ので、お金のかからないスペイン料理としては一番だと思います。

2011.04.09 04:05|花・植物
 ベランダ南側に作り付けの花壇に植えて六、七年経つ芙蓉ですが、もう芽を出す頃なのに今年はぜんぜんその気配がなく、どうやら枯れてしまったっぽいです。去年はいつもの年にも増してやたらと伸びていたのに、いったい何がまずかったのか。根元に植えて放置してあったムスカリの球根が増殖しすぎたのが原因かもしれません。まあ枯れ木を放置しておいても仕方ないので、こちらの花壇にももう一つと同じくバラを植え直すことにしました。一昨年あたりからバラにはまってベランダに占める比率がどんどん増えていき、おかげで家族からは洗濯物を干すときトゲが引っかかると大ブーイングです。

 実は以前にほしいと書いたバラの"ブラザー・カドフィール"、近所のホームセンターにもし入荷があったら教えてほしいと頼んでおいたところ、あきらめかけた頃になってようやく連絡がありました。ただし、せっかく取り寄せてくれたお店には悪いんですが、なんか貧相で育ちが悪い・・・。そのうち名前の主のように頑丈になってくれるといいんですが。他の苗はもう結構新芽から葉が出ているのですが、もうシーズンオフという事で大安売りになっていたのでそちらも一本購入しました。薄黄色の"ザ・ピルグリム"と濃い赤の"フォールスタッフ"というのとどちらを買うかで迷ったんですが、結局名前の相性がいいピルグリムのほうに(カドフィールとフォールスタッフ、揃ってむさくるしい元ネタのキャラが並んだところを想像してしまう)決めました。もう結構遅い時期で、芽吹きだしてからの移動はあまりよくないそうなので、早く植え替えなくちゃなりません。もっとも、家ではこれまでの経験からして後から植えた見切り品みたいな苗のほうがなぜかよく根付いて育ってます。残り物には福があるということなのか。


ついでにもう一つのバラの花壇に咲いたクロッカス

SH3F03100002.jpg

風に吹かれて首が曲がってる。。。マンションの上の階なので、風が強いのが花や新芽には悩みの種です。

テーマ:雑記
ジャンル:学問・文化・芸術

2011.04.01 02:58|音楽鑑賞(主にオペラ)
 先週の金曜日、ちょうど銀座に行く用事ができたので東劇の上映最終日に滑り込みで見てきました。銀座は大型店が軒並み早めに閉じてしまってはいるものの、遅くなっても意外に人出があって震災前とそんなに変わらない様子です。ただしライヴビューイングそのものは演目のせいもあってか相当がらがらでしたが。ドミンゴが出るというのに・・・

 ドミンゴが歌うのはヒロイン、イフィジェニー(なぜか本編中の字幕ではずっとこの表記。こちらのほうが馴染みありますが。)の弟、オレスト役。ドミンゴはこの役に思い入れがあるのか、ここ数年かなりの頻度で歌っていて、このメトのプロダクションも2007年の初演から続投です。役を考えると、さすがにイフィジェニー役がスーザン・グラハムでも年の離れた弟という設定はきついんじゃないかと思わずにいられなかったのですが、役に心血を注いでいるのが大画面から手に取るように伝わってくるせいか、見ているうちにそんな事は全く気にならなくなりました。ドミンゴとグラハムは二人とも風邪の断りつきだったにもかかわらず、相当の熱演でした。グラハムは幕間にはだいぶ咳き込んでいてドミンゴ以上に体調が悪そうでしたが、その直前の一幕最後のアリアでところどころ出しづらそうなところがあった以外、そこまでひどい声には聞こえなかったです。(というか、私はグラハムについてはたぶん2008年の「ファウストの劫罰」くらいからまともに聴いてないので、失礼ながらそもそも普段どんな声なのか思い出せない始末なのですが。それにライヴビューイングはいつもやたらと音量が大きいので、劇場では声が出ていなく聞こえる状態でもかなり補正がかかってそうです。)しかし演技も含め、苦悩しながらも毅然としたキャラクターを演じる表現力がとにかく素晴らしく、とりわけドミンゴとのやり取りの場面は手に汗を握るような迫力でした。グラハムは他のHDでインタビュアーをやったりするときは明るいキャラなのに、舞台では一変、悲劇女優としての貫禄十分なのには感心させられます。オレストの親友、ピラードを演じたポール・グローヴスも率直で友人思いの役柄がぴったりはまっていたものの、演出が生き別れていた姉弟の関係に焦点を当てているせいか、幾分影の薄くなってしまった感は否めません。タウリス王のバスバリトンはちょっと荒い歌でしたが、蛮族の王の役ならまあありなのか?サマーズの指揮をはじめ、全体に古典派の様式美を捨ててエモーショナルに流したという印象の音楽作りでした。

 演出は前回見たボリス・ゴドゥノフと同じスティーヴン・ワズワース。音楽の始まる前に短い無言劇(今回でいえば生贄にされそうになる少女時代のイフィジェニーと両親の場面。それをアルテミスが止めに現れる)があって、それが全体の導入になるところも「ボリス」と似ています。目を見張るようなビジュアルや鋭いひらめきのようなものはなく、やや説明的すぎるくらいだけれど、それぞれの役のキャラクターをきちんと設定し、人物間のドラマを描きあげているところは評価できると思います。両親役はその後も黙役として登場し、母の父殺しも舞台の上で再現されますが、この二人の服の切れ端らしきものをイフィジェニーとオレストがそれぞれ持っているのは引き裂かれた家族の絆を象徴しているのでしょうか?

 ライヴビューイングで毎回本編と同じぐらい楽しみなのが幕間の舞台裏です。今回のインタビュー担当は嬉しいことにナタリー・デッセイで、ゲストとの軽妙なトークも上手く重い話のちょうどいい息抜きになりました。(ボリスの時のパトリシア・ラセットはいまさら聞かなくてもという感じの微妙な質問ばかりしていたので・・・)いちおう擬似観劇気分を満喫できましたが、気になるのは六月の来日公演です。NYタイムズの記事だと現在のところまだ結論は出ていないようですが、中止なら引っぱらないで早く発表してほしいというのが本音ではあります。決行したとしても個人的に嫌がってキャンセルする人も出そうだし、来られなくてもまあ仕方がないと思ってはいますが。
03 | 2011/04 | 05
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
プロフィール

eHolly

Author:eHolly
筆不精にも関わらずメモ帳代わりとして始めてしまったブログ。
小説や音楽の感想・紹介、時には猫や植物のことも。
ツイッター@SnowyHolly16

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

FC2カウンター

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
1256位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
その他
183位
アクセスランキングを見る>>

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR