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2012.02.24 22:22|レシピ
最近寒さのせいで野菜の値段がとんでもないことになっており、近所のスーパーではキュウリ一本100円とか大根350円とかが普通。値札を見るたび買うべきかどうか本気で悩んでしまう貧乏性な人間です。
 
 そんな中、ほとんどいつもと変わらない値段でありがたいのがキノコ類なのです。野菜と言っていいかどうかわからないけど、何しろテーブルに肉魚卵ばかり並べるわけにもいかないし。和食の多い我が家ですが、私はキノコはオリーブオイルと合わせて、簡単にできるスペイン風の炒め物にするのが気に入っています。

 材料:キノコ(マッシュルーム、マイタケ、エリンギ各一パック)、玉ネギ半個、ニンニク二かけ、パセリ、卵黄一個分
 その他分量外としてオリーブオイル、ナツメグ、塩、こしょう、白ワイン少量

1:まずキノコをそれぞれ食べやすい大きさに切る。マッシュルームは大きさにもよりますが二~四等分、エリンギは薄切り、マイタケは小さく分けます。

2:玉ネギはなるべく薄いくし形切り、ニンニクは芯を取って荒みじんにする。 

3:直火にかけられるキャセロールかフライパンに、オリーブオイルを大さじ二杯ほど入れ、ニンニクと玉ネギを木べらで焦げ付かないよう混ぜながらよく色が付くまで炒める。

4:キノコを加えて塩こしょうし、さらに炒める。(エリンギ→マッシュルーム→マイタケの順で)すっかり火が通ったらナツメグと白ワインを少し振りかける。

5:火からおろし、フライパンの場合は皿に盛り付けて、真ん中に卵の黄身をのせパセリのみじん切りを散らす。

SH3F05840001.jpg

出来上がり。まず卵黄をほぐし、キノコに絡めてどうぞ。

パンにもよく合いますよ。

SH3F05870001.jpg

テーマ:レシピ大集合!
ジャンル:グルメ

タグ:スペイン料理

2012.02.20 17:57|音楽鑑賞(主にオペラ)
 上映最終日ぎりぎりの駆け込み鑑賞。
 
 様々なバロック・オペラや声楽作品からの曲を「テンペスト」をベースに、ちょっと「夏の夜の夢」を組み込んだ脚本に当てはめて継ぎあわせた新作パスティーシュです。
 ネット放送していたのをちょっと聴いてみたら、お客さんからしょっちゅう笑いが起きていたのでよっぽどコメディタッチなのかと勝手に想像していました。確かに雰囲気がゆるいというのか、あえて深刻さを排したドラマときれいな舞台美術とで、三時間半超の長さもそれほど苦にならずのんびり楽しめる仕上がりです。アリアはともかく、レチタティーヴォ部分の歌詞は聞き取りやすい英語だし。

 ただ雰囲気のゆるさ自体はかまわないんですけど、全体の筋書きまであまりにしまりがなく、その結果一部のキャラの魅力まで台無しにされてしまっているのはちょっと問題じゃないでしょうか。
 
 私はとくにシェイクスピアの戯曲に思い入れがあるわけでもないんですが(「夏の夜の夢」なんて原文通読の授業でさんざん苦労したのでむしろアレルギー)、それにしても今回のプロスペロー親娘の描き方はひど過ぎ。
 プロスペローは前半ほとんど怒りまくってるだけの横暴な差別主義者だし、ミランダはあれじゃフェルディナンドと両思いになるのが唐突過ぎて、父親に洗脳された頭のかわいそうな子にしか見えないですよ。ディヴィッド・ダニエルズは声の調子が今ひとつな雰囲気でしたが、プロスペローという役自体にはなかなかはまってたので、せめてもう少しいい脚本だったらと思わずにはいられませんでした。ミランダとフェルディナンドも揃って声と見た目はいいのに、おかげでどうも存在感に欠けて気の毒です。

 逆にキャリバンと母親シコラクス(ここでは死んでおらず、さらにプロスペローとは元恋人同士だったという設定)親子のほうはかなり観客の共感を得られるような描き方をされています。演じているディドナートとピサローニもおどろおどろしい見た目に反してリリックさを前面に出した歌で、この親子の場面は作品全体の中でもひときわ美しく聴こえました。
 ただ、こちらで母と息子の情愛が強調されているのに、プロスペローの方にはミランダと絡む場面がろくにないのが不思議。せっかく主役格でシコラクスを出したなら、もっと二組の親子関係を対比させても良かったのにと思います。
 
 結局、二つの戯曲を無理やり合体させたうえに、おまけにオリジナルキャラクターのネプチューンまで出していろんな要素を詰め込んだせいですべてが薄味で散漫になってしまった印象です。夏の夜の夢から登場のカップル二組、こちらも演じている人たちはぜんぜん悪くないんですが、取り違え騒動ならテンペストの登場人物だけでも話は成り立つでしょうし、出さないほうがずっとすっきりしたような・・・。
 
 ここではパックの代わりにその騒動を引き起こす妖精アリエル、ダニエル・ドゥ・ニースのむしろ強めな声と歌唱は空気の精というイメージじゃなかったですが、狂言回しとしてのユーモラスな大活躍は本人の雰囲気にぴったり。(空気や風じゃなく鳥の精みたいな格好でしたね。そういえばシコラクスも羽のいっぱい付いた衣装だったし。)

 しかしこの作品で個人的に一番笑えた登場人物は、なんと予想に反してドミンゴ演じる海神ネプチューンでした。まさかあんなキャラだとは思いもしなかったですし。実は個人的にはプロスペローが今のドミンゴのイメージなんですが、予想の斜め上を行くような役でも、さまになって神様らしく(神の役は初めてだそうですが)見えるのはさすが大歌手というほかありません。

 しかしネプチューン、最初からシコラクスの味方ならもっと早く助けにこられなかったのか?今まで知らなかったわけでも、プロスペローにずっと海底に封じられてたというわけでもなさそうだし・・・。いやバロックもので最後に出てくる神様に突っ込んじゃいけないんでしょうけど・・・。

 
 

テーマ:クラシック
ジャンル:音楽

タグ:オペラ感想

2012.02.09 02:27|怪奇幻想文学いろいろ
 そろそろ「グレン・キャリッグ号」の続きをあげねばと思いつつも、最近目が疲れ気味で小さすぎる(←ほんとに一文字が一ミリくらい)原書の活字を追う気になれずにいました。
 
(ネットでペーパーバックの一番安いの買ったら薄いぶんはんぱなく文字が小さい仕様で、輸入版DVDの字幕なんかもたまにそういうのありますが、外国の人ってよくあれで平気だと思います。まあ変なところでケチったのが悪いんですけどね。)

 ところでホジスン好きになってから思うんですが、海洋文学の書き手でも、ああいう海そのものの幻想性に焦点をあてた話を量産した人って案外多くないんですね。特にホジスンのサルガッソ海もののように、独自のカラーを持った同一作家の作品集ってないかと探してたんですが、これがありそうでなかなか見つかりません。

 そんな中、たまたま買ってみた「ロアルド・ダールの幽霊物語」というアンソロジー(TVシリーズの原作候補としてあちこちの怪談を選定したら、映像化の企画が流れてしまったので結局書籍にして出したという本)でヨナス・リー Jonas Lieというノルウェーの作家を知りました。編者ダールによれば十九世紀ノルウェーの文学界を代表する作家の一人ながら、国外ではほとんど知られていない人物なんだとか。
 
 収録されている「エリアスとドラウグ」は、英語圏の作家がほとんどのこのアンソロの中ではかなりの異色作。しかし民話調で簡潔な語り口のうちにも北欧の海の冷たさが肌で感じられるような、文字通りリアルに背筋が凍る不気味さでした。ダールが本国以外ではほとんど無名のリーの作品を収録作中でも一推ししているのは、両親がノルウェー人で(自伝小説の"Boy"によると、子供時代は毎夏一家で里帰りして海で遊んでいたそう)DNA的に惹かれるいうこともあったのでしょうが、それを差し引いても他の作品とは一味違う魅力です。

 調べてみたらリーは他にも海をテーマにした怪奇小説を多く書いていて、邦訳も一冊あるというのでこれはぜひとも読んでみなくちゃとさっそく借りてきました。ダールのアンソロに入っているのと同じ作品をタイトルにした短篇集の「漁師とドラウグ」。(※漁師=主人公エリアスのことですが、訳者が違うせいか表記が異なっています。)

漁師とドラウグ (魔法の本棚)漁師とドラウグ (魔法の本棚)
(1996/08)
ヨナス リー

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 Weird Tales from Northen Seas(北の海の怪談集)という副題どおり、近代以前のノルウェーを舞台に、海を生活の場として生きる人たちと超自然との関わりを扱った短編が全十一篇収められています。「ドラウグ」というのは海の悪霊のようなものらしく、アザラシに姿を変えていたドラウグをそうと知らず傷つけてしまった漁師に降りかかる恐ろしい運命を描いた表題作をはじめ、半数近い作品に登場してくるのですが、話によっても扱いはさまざま。中でも特に印象的だった作品を二つだけご紹介しましょう。

 「スヨーホルメンのヨー」:漁で遭難し、遠くラップランドに漂着した若者ヨーの前にドラウグが姿を現します。ドラウグの船で無事故郷に帰りつき、自分にもその丈夫な船の製法を教えてほしいと願うヨー。しかしドラウグの出した交換条件とは、沈まない船を作る魔法の力を与えるかわり、七隻につき一隻は自分のものにする、つまり難破させるという恐ろしいものでした。ヨーはその取引に応じてしまい...。
 作った七つのうち一つだけは手助けした魔物の取り分になるって、「魔弾の射手」と同じなのに興味をそそられるけど何か元ネタがあるんでしょうか。

 「ラップ人の血」:海辺の村に幼馴染の男女がいましたが、若者は成長するにつれてノルウェー人の間で爪はじきにされていたラップ民族出身の娘を避けるようになります。ある日、彼は磯で不思議な少女に出会い、父親に会ってほしいと連れていかれた先は海の底...。
 なんとドラウグが(結果的に)幼馴染同士の仲を取りもつという、珍しくハッピーエンドの話。少女に導かれて降りてゆく海中でくり広げられる幻想的な光景がすばらしい。妙に人間くさいドラウグのキャラがまた面白いです。
 
 こうしてドラウグにしても常に人間に害をなすわけではないように、リーの物語の事実上の主役ともいえる北の海は冷たく恐ろしい死の世界ながら、同時に計り知れない豊かさをたたえた生命の源でもあります。このあたりはちょっとホジスンの海の描き方にも通じるものがあって、私の好みにはぴったりでした。

 だけど「ヨナス・リー」でイメージ検索したら、次に出てくるのが本人じゃなくてヨナス・カウフマンとヨンフン・リーの写真なんですけど(去年のドン・カルロ代役の記事でしょうが)

jonas.jpg
↑ちなみにこちらが正真正銘のヨナス・リー氏。ダールがアンソロのまえがきで「葬儀屋そのものの風貌」とかコメントしてるので、いったいどんなご面相かとつい調べちゃったわけですが。

テーマ:本の紹介
ジャンル:学問・文化・芸術

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Author:eHolly
筆不精にも関わらずメモ帳代わりとして始めてしまったブログ。
小説や音楽の感想・紹介、時には猫や植物のことも。
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