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2012.04.02 17:10|音楽鑑賞(主にオペラ)
 ほぼ週一で前を通っていながら存在すら知らなかった映画館、ヒューマントラストシネマ有楽町で上映終了の二日前に見てきました。そもそもイトシアって今まで1階から上に行ったことなかったな。

 で、感想ですが・・・背景をほぼ作曲されたのと同じ時代(1813年ドレスデンとテロップが出てたような)に移してはいても、特に奇をてらったつくりというわけではなく、オペラの映像化としては相当元のリブレットに忠実なほうではないでしょうか。
劇場の上演だとオペラグラスでよくよく見ないとわからないような小道具(弾とか花冠とか)もしっかりアップで映るし、舞台では演出しにくい民衆の生活感が画面から漂ってくるのもよかったです。
どうなるのか一番楽しみだった狼谷の場面は、期待を大きく上回りも下回りもしなかったけど、一応許容範囲といったところかと。(ホラーシーンのCGが浮いてるのはこの規模の作品の宿命か・・・昔見たS・キング原作の某テレビ映画を思い出してしまいました。) 

 たぶん今回最大の冒険は主役のキャラクター設定かも。マックス役のミヒャエル・ケーニッヒはおよそ若者には見えないうえ、最低でも一ヶ月はお風呂に入ってなくて、下手したら森の中で熊とまちがえられて撃たれそうな風体です。おまけにアガーテを訪ねてくるなりいきなり銃をぶっ放したりする、どう見てもかなりヤバそうな人。
 なので、まじめな森林官の婿候補として周りじゅうから認められているというのがすごく不自然に思える(おそらく、ああなったのはナポレオン戦争に従軍した後遺症で、元はまともだったんでしょうが)。こういう暴力的なキャラクターにするのも演出によってはありかもしれませんが、他がかなりのリアル路線なので、マックスの浮きっぷりが際立ちすぎ。
 ケーニッヒはビジュアルはともかく、あのキャラを演じきったのは見事だし、派手さはなくとも堅実な歌唱で、これからあちこちでワーグナーも歌っていけそうです。

 相手役のアガーテもエンヒェンとは従姉妹というより親子みたいで、ぜんぜん若くはありません。バンゼは中途半端に声が重くなってしまった感じで、登場してすぐ歌う"Leise, Leise"のアリアが何か音声加工でもしてるのか?というような不自然な響きに聞こえたんですが、あとは歌はまあまあで演技は熱演。マックスがあれだから釣り合いがとれるこの人選なんだろうな、と思えば年齢的違和感は薄れたけれど。
 ミヒャエル・フォッレ(初めて聴いたけどいい歌手ですね)のカスパールの作り過ぎてない陰険さや、表情豊かなエンヒェン役の新人さんも気に入りました。全体にハーディングの指揮も含め、音楽面でそう不満は感じなかったものの、オケの音に映画の効果音が入るとやっぱり耳慣れなく感じちゃうのは仕方がないですね。

 パーぺやベーアはご当地枠?での出演だったんでしょうか。せっかくだからプロローグに隠者とアガーテのシーン置いてパーぺの出番増やしてくれないかと思ったら、確かにそうだったんだけど人形芝居(でも再現度すごい!)でした。歌い口も雰囲気も「隠者」という柄じゃないですが、最後を切れ味よくすっきり締めくくってくれたので満足です。
 
 ただアガーテが隠者にもらった白バラ、先にそれらしい生花が花瓶に生けてあるのが映るのに、何で結婚式に付けていくのがドライフラワー?花嫁にドライフラワーの飾りってあんまりじゃないかと。

テーマ:クラシック
ジャンル:音楽

タグ:オペラ感想

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