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2013.05.28 14:51|
 一月にフランス旅行したとき、街の古本屋さんでお土産を探していたらこんな本を見つけました(もちろん仏語版だけど)。

Movie CatsMovie Cats
(2006/10)
Susan Herbert

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 映画の名シーンの登場人物たちを全員猫に置き換えたイラスト集です。絵柄はほとんどデフォルメされてなく(二足歩行してる以外)本物そっくりな猫たちなんですが、キャラクターの表情の描き分けも細かくてなかなか可愛い~。
 帰国してから調べてみたところ、作者のスーザン・ハーバートは猫の絵で有名なイラストレーターで、これ以外にも有名な芸術作品を猫が演じるというモチーフの作品集がいくつも出版されています。全部ではないですが、そのうち「猫の印象派」「猫のシェイクスピア劇場」など何冊かは日本語版もありました。

 その中でとりわけ私の興味を引いたのが↓の一冊(三月に米アマゾンに頼んだのが最近やっと届いたんです)。
タイトルはもちろんニューヨークのメトロポリタン・オペラのパロディなのですが、歌手もスタッフも全員猫のオペラハウスで、この本はそのオープン百周年記念として出版された上演記録(写真?)集という手の込んだ趣向になってます。

The Catropolitan Opera: The Centenary Celebration of the Grand Catropolitan Opera CompanyThe Catropolitan Opera: The Centenary Celebration of the Grand Catropolitan Opera Company
(1997/09)
Susan Herbert、Bill Meadowcane 他

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 取り上げられているのはトスカ、ボエーム、椿姫、カルメン、魔笛・・・などなど、27演目33枚の過去の「名演」の様子。以下ちょっとだけ紹介しましょう(携帯で撮ったので部分だけだし写り良くないですが)

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猫カニオ(レオンカヴァッロ「道化師」)

130513_0330~01
猫マルグリート/ファウスト/メフィスト(グノー「ファウスト」)

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猫ボリス(ムソルグスキー「ボリス・ゴドゥノフ」)

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蝶々さん(猫)とスズキ(猫)(プッチーニ「蝶々夫人」)

 面白いのはイラスト毎に過去の上演のエピソード紹介という体裁で解説が付いていることで、これがまたマニアックに凝ってます(笑)
 文中に登場する往年のスター猫たちのプロフィールはどうやら実在したメトの有名歌手のもじりらしく、ヒステリーで悪名高いディーヴァはCatherine Kittle、ロシアの名バスがAlexander Katnipsといった具合ですが、笑えるのは猫ならでは(?)の舞台裏暴露話。たとえば…

蝶々さんとスズキはシャム猫(上参照)、魔笛の夜の女王は真っ白なペルシャ猫が歌うのが慣例。生まれつきそうでない猫はメイクしたり染めたりする

・ワーグナーのヒロインでならしたある北欧出身のソプラノ猫は年々巨大化していったので、それより大柄な相手役を探すのが大変だった (これはまあ、人間の場合でも…)

・迫力を出すため、「ラインの黄金」の巨人族ファゾルトとファフナーは例外的にブルドッグが演じる↓。モスクワにある犬のオペラハウスから客演してもらうんだとか (※ただし猛犬注意!)

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(「ジークフリート」の大蛇態ファフナーはどうするんでしょう?)

などなど。猫の場合でも裏方の苦労は並大抵ではないようです!!!

テーマ:本の紹介
ジャンル:学問・文化・芸術

2013.05.25 06:16|音楽鑑賞(主にオペラ)
 演出プランについては白紙の状態で行ったもので、ドアから中が見えた一瞬どこに来ちゃったのかとびっくりしました。セット、細かいところまでよく作りこんであるな~と始まる前から感心です。
 今回初めてアカデミック○○プラン(←これならまだまだ大丈夫)のチケットで観てみたんですが、なんと舞台から十列目ちょっとの席で臨場感ばつぐん。そのうえ両隣も空いてて最高の環境でした

(※以下演出に関するネタばれ含みます。) しかしそのリアルなセットの舞台で展開するストーリーがどんなものだったかというと…。
 
 


 
 ステージ上のブランドショップの一つ"MAMMON"というのは、確か拝金と強欲を象徴する悪魔のことだったはず。その名が示すように、「神を忘れたヘブライ人」たちはひたすら自分の欲に忠実にショッピングにうつつを抜かす現代人、彼らの神殿は高級ブランド店が集まるデパートに置き換えられているのです。そして、そこに攻め込んでくる異教徒のバビロニア王ナブッコと王女アビガイッレら配下はいかにもヒッピー然としたなりの一団。ブルジョワジ-を嫌う彼らは店内をいたるところ破壊し、客や店員たちを人質に立てこもりテロを起こします。
 しかし人質たちは、しだいにその中の一人の宗教家(コンスタンティン・ゴルニー演じるザッカーリア、最初は見向きもされずプラカード担いで行ったり来たりしてる人)を中心に結束してゆき、犯人側の仲間割れ等もありついに自由を取り戻します。ナブッコも改心し、一同新境地に至って神を讃えめでたく解決となるのでした。
 
… 骨組みだけ抜き出してみると大体こんな感じではないでしょうか。もちろん本来の旧約聖書の舞台は跡形もなし。現代に移し変えるにしてもリアリティ0の設定とはいえ、筋の運びも登場人物の思考回路もはちゃめちゃで理解しがたいのは元の台本も正直そう変わらないように思えますので、宗教的なテーマの扱いとしてはぎりぎり納得できなくもなかったのですが。
 
 ですが終始付きまとって離れなかった疑問は、このコンセプトだと話のもう一つの主軸であるナブッコと娘二人との関係が分からなくなりやしないか?ということでした。
 大体あんな愚連隊のような一団が「王家」(単に「リーダー」ならともかく)や「血統」といった概念を尊重しそうには見えず、よってアビガイッレが実は庶子という出自のコンプレックスから父や異母妹のフェネーナに対抗意識を燃やすのもピンと来ません。何よりフェネーナの立場の位置づけが意味不明ですし。

 なのでそうした骨肉の争いの感情がクローズアップされる度(しかも音楽的にも重要な場面が多いため)にどうしようもなく違和感を感じてしまい、結局ドラマとしても不完全燃焼という残念な結果に終わってしまったというのが正直な感想。セットに凝るならせめてもうちょっとコンセプトも練ってほしかったです。

 ロビーで配布されていた演出の解説プリントによれば、ユダヤ教の「神」なる観念を「自然の力」に置き換えて強調したとのことですが、これもそこまでインパクトのある描写がされておらず中途半端な印象がぬぐえません。
 偶像に落ちる「雷」はなんだか震災を連想させるような…。大団円での奇跡が人々が植樹した苗木というのも、旧約聖書でバビロン捕囚の記述があるエレミヤ書に出てくる「若枝」(イエスのこと)が由来かもしれませんけど、やっぱり見せ方がどうも唐突でした。

 カリニャーニの指揮は歯切れよくリズミカルで好印象でしたし、外人勢三人を筆頭に歌手や合唱も頑張っただけに演出がかみ合ってなかったのが惜しいですが、それでも終幕のナブッコとアビガイッレの歌には設定の違和感を吹き飛ばす情感があったのは本当さすが。ガッロもコルネッティも想像していたよりずっと良かったです。

 新国オリジナルのプロダクションらしいのでカーテンコールに演出チームが出てくるかな?と思って見てましたけど、登場しなかったですね(初日どうだったかは知りません。現れたとしたらこの間のコンヴィチュニーとどっちがブーが多いかなんて余計なこと考えてました)
 グラハム・ヴィックってオペラを見始めたころ映像で知った舞台はどれもインパクトと緊張感があって好きなんですが、実演だと無難なだけだったスカラ座来日公演の「マクベス」もこれもいまいち。作品によってイメージががらっと違うので、何が出てくるか分からないという意味では面白い人だなとは思うけれども。

テーマ:クラシック
ジャンル:音楽

タグ:オペラ感想

2013.05.19 02:36|ホジスン
 その(1)はこちら(以降順繰りにリンク)

 ありとあらゆる魑魅魍魎のたぐいが棲みつく「夜の域」でもひときわ奇怪で得体の知れない存在が、ピラミッドの周囲を輪のように取り囲んでいる「監視者」"watcher"と呼ばれる巨大な怪物たちです。

「…(前略) 四人の監視者が闇のなかに潜んでピラミッドを見張っているのである。動きもしなければ、音をたてることもない。しかしわれわれは、そいつらが眼を光らせつづける生きた山であることを、醜怪でたしかな理性を備えた生きものであることを、知っていた。」(妖精文庫版、上巻P36より)

 「四人」とあるのはそれぞれピラミッドからみて北東、南西、南東、北西にいるものたちで、それぞれ「北東の監視者」というように位置する方位をつけて呼ばれています。
 そしてもう一体、他の四体とは「性質を異にしている」のが「夜の域」でも最大の巨躯で、百万年前に闇の中から出現したと伝えられる「南の監視者」。それは現れて二万年のあいだ、ほとんど認識できないくらいゆっくりとピラミッドに向かって進み続けたので、人間たちは怪物の目の前に「光るドーム」という建造物を築いて怪物の接近を食い止めたといわれているのでした。
 
 この「監視者」ら怪物たちへの警戒にあたるのが「怪物警備官(モンストルワカン)」と呼ばれる人々で、彼らはピラミッド上部の塔から常時「夜の域」で起こるあらゆる変化を観測しています。代々の「怪物警備官」たちが残した記録とそれに基づく研究の量は膨大で、それこそ「北東の監視者」の額が巨大で皺くちゃということについてだけでもゆうに「図書館いっぱい」の本が書かれているくらいだとか。
 
 現在の「怪物警備官」の長は両親を亡くした主人公とは父親のように親しい関係にあり、主人公自身も一種のテレパシー能力を備えているのを買われて成人後はその一員になります。ちなみにこの職はピラミッド世界きってのエリートですが誰でもなれるわけではないらしく、外の正気度をすり減らしそうな怪物たちを見続けるにはやはりそれなりの適性が必要なのかもしれませんね。

 これらあわせて五体の「監視者」たちの姿については部分的な描写があるのみですが、妖精文庫版あとがきと付録の小冊子でアメリカのイラストレーター、スティーヴン・フェビアン (Stephen Fabian)がホジスン自身による短縮版「X氏の夢」につけた挿絵が紹介されていました。ネットで探したらカラー画像も見つかりましたので、いくつか転載させていただきます。

nightwatchernethumb.jpg
皺くちゃなおでこに突き出た耳、頭上には青い光の輪の「北東の監視者」。
想像力貧困なもので私には手足つきモアイ像みたいなのしか浮かびませんでした

nightwatchersethumb.jpg
左右に松明に似た火が燃えている「南東の監視者」。あまり具体的な説明がないせいか、虫やヒキガエルのパーツを混ぜたような姿になってますがいい感じに気色悪いです。

nightwatchersouththumb.jpg
光るドームを前にした巨大な「南の監視者」。しかし、まさかこの姿勢のまま進んできたんでしょうか…
 
 上の画像をお借りしたのは、イギリスのThe Night Landというサイト。
 ここには読むときの脳内補完に役立つ情報がいっぱいで、特に「夜の域」と主人公の旅の経路を地図にした"Night Maps"、フェビアンはじめ色々なアーティストが「ナイトランド」の世界観を元に描いたイラストや世界各国で出版された本のカバーアートを集めた"Night Scapes"は必見。もちろん大部分は本文の記述を基にした推測ですが、地球のたどった歴史の年表、それに二次創作(!)の小説まであって面白いですよ。

 しかし(話を戻すと)「夜の域」で何より恐ろしいのはそこに人間たちの魂を汚し、ただの死よりもずっと恐ろしい状態をもたらす邪悪な力が潜んでいることだといいます。精神に干渉して破壊するあたり、クトゥルフ神話の「宇宙的恐怖」に近いものともいえるでしょう。
 この邪悪な力(原文ではEvil Force、Spirit、Powerなどさまざまに呼ばれていますが訳ではほぼ「邪霊」で統一)と、「監視者」はじめ有形の怪物たちとの区別は今ひとつ不明確ながら、前者は実体をそなえていない(よって物理的攻撃も効かない)存在ではないかと思われます。もっとも前回で引用した「夜の域」成立過程のくだりに暗示されているように、「監視者」たちも"凝固"(実体化)した邪霊の一種なのかもしれませんが。

 志願しての探索であれ外にいる仲間の救援隊として派遣されるのであれ、「夜の域」に出てゆくピラミッドの住人は誰もがその危険についての講義を受け、「精神の装備」をすることが義務付けられていると主人公は説明します。そして手首のところには毒の入ったカプセルが埋め込まれ、もし「邪霊」から逃れられないとわかれば取り憑かれて精神を汚染される前にそれで自決しなくてはならないのだと。どうもある者が「邪霊」の犠牲となると、そこから間接的に他の不特定多数の人たちにまで害が及ぶ恐れがあるようなのです。
 
 おそらく「邪霊」たちにとっては人間の魂が餌のようなもので、彼らがそれを目当てにピラミッドの周りに集まるため「夜の域」が形成されているのでしょう。また別の回で触れようと思いますが、人間の住まない場所にはだいぶ異なる環境も存在していて、「夜の域」というのは一種独特な様相の領域であることがしだいに明かされていきますし。

 そして「夜の域」でその邪霊たちがたむろすもっとも危険な場所が、大ピラミッドの北の方角にたたずむ「沈黙の家」。窓と戸口からはこうこうと明かりがともっているのが見えるのに(シュールですがなにかの見立てではなく、あくまで本物の「家」なんです!)常に完全な静寂に閉ざされた巨大な建物と説明されています。

nightpastsilencethumb.jpg
↑ やはりフェビアンによる「沈黙の家」

 それにしてもなんでそんな荒地の真ん中に家が建ってるのかが最大の謎なんですが、ホジスンのもう一作の邦訳済み長編「異次元を覗く家」でもやはりはるか未来の地球を舞台に似た光景が登場するので、もしかしたら同じ家じゃないかと想像をふくらませたくなりますね。この二作はぜひ読み比べてみることをお勧めします。

異次元を覗く家 (ハヤカワ文庫 SF 58)←Amazonリンク

 「沈黙の家」がどう話に絡んでくるかは書きすぎないほうがよさそうですので、今回はこの辺で…。次は人類にとっての唯一の避難場所、ピラミッド内部の事柄についての予定です。

次回(その4)はこちら

テーマ:本の紹介
ジャンル:学問・文化・芸術

タグ:ウィリアム・ホープ・ホジスン

2013.05.09 15:26|ホジスン
前回(その1)はこちら。今回はこの小説の主な舞台、大ピラミッドを取りまく「ナイトランド」についてです。
 
 作品タイトルにもなっている"the Night Land"は直訳すれば「夜の国」「夜の世界」といったところでしょうが、読み進むうち次第にわかってくるように、実はこれは決して未来の地球全体のことではなくわりと限られた一帯を指して使われている言葉で、訳者の(団精二こと)荒俣宏氏もそうしたことを意識してか、「ナイトランド」とルビをふった「夜の域」という訳語を用いられています。
 本文中ではすべてこの表記になっていますし、題名との混同を避けるためにも「場所」としての「ナイトランド」については、私もこれ以降「夜の域」という言葉で通そうと思います。

 ところで未来世界の説明について、まず一つ訂正しなければならないことが。前回の記事で(修正しましたけど)主人公が生まれ変わったのは数百万年後の地球と書いてしまったんですが、実際はどれほど未来か明確にされてはおらず、ただ単に気の遠くなるような年月が経っているということしかわかりません。
 そもそも、ピラミッドの記録に残されている歴史からして何十、何百万年というとんでもない単位のもので、さらにそれ以前の太陽が光を保っていた頃のことはほとんど人々の記憶にも残ってないというので、数億か数十億年後の時代と考えてもおかしくなさそうです(もちろん百年前の作品なので、現代考えられているような太陽系の歴史とはある程度切り離して考えるべきでしょう)。

 さてそのとにかく凄い未来で、前世の自分と意識がつながった主人公。最初に気がついたとき、彼はピラミッド上の銃眼から下界を一望しようとするところだったのです。
 それから作品前半のかなりの部分は「夜の域」の地理や成立の歴史、それに大ピラミッド内の事物についての説明に費やされます。普通ならこう最初から延々説明パートだと辟易しそうなものですが、「ナイトランド」の場合ここがむしろ一番読んでてわくわくする箇所といっても過言ではないでしょう(それだけこの世界観が魅力的だからで、ほかの部分がつまらないなんて言ってませんよ)。

 「夜の域」は荒涼とした、普通の人間が身一つで放り出されたらまず生きられないような苛酷な環境です。育つ植物といったらある種の灌木程度、それに寒さも厳しく、装備があったとしても下手をすれば命に関わりかねません。地熱が作った「火穴」と呼ばれる場所や温泉で暖を取ることはできますが、そうした場所では他の危険に遭遇する率も上がります。

 というのも決して生命の気配がない死の世界ではなく、無数の奇怪な生き物たち、例えば巨人、半人半獣、巨大な虫や甲殻類に似た怪獣などが至る所にうごめいているからなのです。
(あまりに多種多様な生き物がいるので、ピラミッドの子供たちの間では、みな小さいときから自分専用に持っている望遠鏡で外を覗いて、誰が一番恐ろしい怪物を見つけるか競争するのが定番の遊びなんだとか。)
 
 そうした化け物たちの由来について、作中では次のように説明されています。
 「・・・古い科学(といっても、われわれから見れば未来科学だが)に関する記録はお寒い限りであるが、それによると、測り知れぬ外宇宙の力をその古い科学が乱してしまい、この正常な現在ではみごとにわれわれを保護してくれている〈生命防護層〉を、怪物や獣人の一部に突破させる事態を、ひき起こしたのだそうだ。こうして邪霊たちの物質凝固現象が起きたり、また別の場合にはグロテスクで恐ろしい化けものが生みだされ、それらが今この世界の人類を取り囲んでいる。」(妖精文庫版、上巻P34より)

 つまり進歩しすぎた科学技術のせいで、ある時異世界とのあいだを隔てる壁のようなものが破壊されてしまい、その向こう側から邪悪な存在がぞろぞろ侵入してこちらの生物たちと混血しつつ地上にはびこった…と。
 
 このように目に見える世界の外側には人間に害をもたらすものたちが棲む異空間が広がっていて、そことの境界が破れたり不安定になったため怪現象や災いが起きるというのは実はホジスン作品の多くに共通したモティーフで、きっとこのあたりがラヴクラフトにつながるコズミックホラーの元祖といわれる所以なんでしょうね。
 作中、「夜の域」に探検に出る人々にとって最大の恐怖のひとつである「夜の門口(Doorways In The Night)」という異様な音の現象が語られているのですが、「門口」とはまさにこの次元に開いた裂け目のことだと思われます。

 「ボーダーランド三部作」の「ボーダー」というのもやはりこの境界を意味しており、「異次元を覗く家」の屋敷や「幽霊海賊」の船が怪異に見舞われるのは、それらが何らかの理由で二つの世界の境い目に位置しているからにほかなりません(スーパーナチュラルな要素のあまりない「グレン・キャリッグ号」はまたちょっと別ですが)。
 
↓オカルト探偵ものの「幽霊狩人カーナッキ」でもカーナッキ先生が時々このテーマについて解説してくれてます。

幽霊狩人カーナッキの事件簿 (創元推理文庫)幽霊狩人カーナッキの事件簿 (創元推理文庫)
(2008/03/24)
W.H. ホジスン

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 「夜の域」のことは詳しく書こうとするときりがないのですが、長くなってきたので今回はここまで。もうちょっと具体的な事柄に関しては次回までお待ちください

次回(その3)はこちら

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2013.05.06 23:08|音楽鑑賞(主にオペラ)
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 コンヴィチュニー演出を見比べたあと(まさかオチがかぶるとは知りませんでしたが!)は「マクベス」どうしの見比べということで、今週末はこれをネット鑑賞予定です。

 演出はいわゆるレジーテアターと呼ばれるドイツ語圏前衛演出のコンヴィチュニーに続く代表的存在、マルティン・クシェイ。ザルツブルク音楽祭の「ドン・ジョヴァンニ」、同じバイエルンの「ルサルカ」(結局買ってません)というあたりがソフト化もされている有名作でしょう。ミュンヘンと共同制作の「運命の力」でMetデビューも決まっているようです←某所では変更の噂あり。まあどうでもいいけど 
 
 ただ大抵どこでも評判よりはスキャンダルになっている感じで、個人的にはあまり積極的に見る気になれないんですよね…。まあ、ウェブでの配信なら無料だしいつでも止められますし。

 主な出演はジェリコ・ルチッチ、ナディア・ミヒャエル(上の写真)、ウーキュン・キムなど。詳しくはこちらをご参照ください。

開始時刻は今度こそ日本時間の日曜夜中二時から!!! ←間違いないよう四度見か五度見くらいしましたよ(オランダ人のときはほんとに申し訳ありませんでした)

テーマ:クラシック
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筆不精にも関わらずメモ帳代わりとして始めてしまったブログ。
小説や音楽の感想・紹介、時には猫や植物のことも。
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