ホジスンの海洋奇譚集新刊が出ました

Horrors from Haunted Seas: Weird Oceanic Tales (2012/04/30) William Hope Hodgson 商品詳細を見る

　　↑表紙には巨大ガニが
　
　以前に「グレン・キャリッグ号のボート」要約の記事でふれたホジスンの海洋もの短編集、"Horrors from Haunted Seas"が今日やっと到着。注文する前に検索しても内容は一部しか判明しませんでしたし、もし購入を検討される方がいたら参考にと、収録された全１７タイトルを一覧にしてみました。

　日本でもすでに「夜の声」「海ふかく」（後者はかなり入手困難ですが）と同様の趣向の短編集が二冊出ているので、訳があるものにはその邦題、また「夜の声」に収められている作品には☆印、「海ふかく」のものには★印をそれぞれタイトルの後につけてあります。

・A Tropical Horror (1905) ☆　(邦題「熱帯の恐怖」）
題名通りの怪物ホラー。

・From the Tideless Sea (1906/7)　★　(邦題「静寂の海から」)
サルガッソ海もの。シチュエーション的に「グレン・キャリッグ号のボート」とあちこち似通っています。

・The Voice in the Night(1907) ☆★　（邦題「夜の声」「闇の声」「闇の中の声」他）
映画「マタンゴ」の原案ということで一番有名かも。

・The Mystery of the Derelict(1907)　☆★　(邦題「廃船の謎」「漂流船の謎」他）
これもサルガッソ海が舞台。○○○に占領された船の話。

・The Weed Men (An episode from The Boats of Glen Carrig,1907)
現在うちのブログであらすじを紹介中の「グレン・キャリッグ号のボート」（未邦訳）から第十三章。しかしここだけ切り取っても、前後のつながりが分からないと何がどうなってるのかさっぱりだと思うんですけどね。

・The Shamraken Homeward-Bounder(1908)　 ★　(邦題「帰り船＜シャムラーケン号＞」)
なぜか乗組員が全員老人という異様な船が遭遇するのは・・・いわゆる「ホラー」ではないのですが、全体にみなぎる幻想的な雰囲気は海を扱った作品の中でも出色です。

・The Ghost Ships　(An episode from The Ghost Pirates, 1909)
これも未邦訳の長編「幽霊海賊」から大詰め近く、第十四章を抜き出したもの。当ブログでの作品紹介はこちら→。ホジスンの"The Ghost Pirates"（「幽霊海賊」）

・Out of the Storm(1909)

・The Albatross(1911)

・The Thing in the Weeds(1912)　★　(邦題「海藻の中に潜むもの」）

・On the Bridge(1912)
以上四作はおそらく未邦訳の短編です。訂正：The Thing in the Weedsだけは「海ふかく」に収録。他三作は未邦訳です。・

The Derelict(1912)　☆★（邦題「カビの船」「漂流船」他）
カビに占領された船の話。

・The Finding of the Graken(1913) 　☆　(邦題「グレイケン号の発見」）
一応サルガッソ海もので難破船の救出劇。なぜか語り手の友人のはた迷惑な所業以外印象に残ってませんでした。

・The Stone Ship (1914)　☆★　（邦題「石の船」）
深海から浮上した奇怪な船の探索譚。

・The Haunted Pampero(1916)
これも未訳の短編。

・The Voice in the Dawn (1920) ★ (邦題「暁に聞こえる呼び声」）
サルガッソ海ものの中でもひときわ神秘的・叙情的で美しい作品。

・Demons of the Sea(1920)
未邦訳短編。

　まだ訳のないものはできるだけこちらで取り上げていきたいですが、その前にまず「グレン・キャリッグ号」終わらせなくちゃ。